暮らし百景アーカイブ145

スドウさん。おたまがぶら下がる棚の陰で、私はスドウさんからダメ出しを受けている。大学入学までの春休み。人生初のアルバイトに選んだのが、キッチン用品の店頭販売だ。スドウさんは私の指導係で、この道二十年のベテランである。知らなかった。働くって、大変だ。レジ打ちは緊張するし、商品補充は力仕事。接客には商品知識が必要だ。しかし、そんな仕事の隙を見てスドウさんは風船を膨らまし子供に声をかける。親に足を止めさせる販売促進作戦だ。私はといえば、注意されてばかりだ。ほら、もっと愛想よく。お客さんがいない時も突っ立っていないで自分でやることを探しなさい等々。ひと通り話し終えるとスドウさんは、私の顔をまじまじと見つめて「あなた、ご両親に大事に育てられたのね」とほほ笑んだ。その夜、お風呂で足を揉みながら、スドウさんの言葉を反芻していた。私がこの年までのほほんと生きてこられたのは、両親が懸命に働き、育ててくれたおかげだ。そんなこと、昨日までの私は考えもしなかった。そうか。スドウさんは働くことの尊さを、私に気づかせようとしたのだ!ようやく私にも風船が配れるようになった頃、バイト期間が終わった。初の給料で両親にケーキを買った。驚く二人に、実はね…と例の言葉を伝えると「過保護で気が利かない、って意味でしょ」と、母は呆れ顔で言った。えっ…そうだったの?スドウさん!?

スドウさん。おたまがぶら下がる棚の陰で、私はスドウさんからダメ出しを受けている。大学入学までの春休み。人生初のアルバイトに選んだのが、キッチン用品の店頭販売だ。スドウさんは私の指導係で、この道二十年のベテランである。知らなかった。働くって、大変だ。レジ打ちは緊張するし、商品補充は力仕事。接客には商品知識が必要だ。しかし、そんな仕事の隙を見てスドウさんは風船を膨らまし子供に声をかける。親に足を止めさせる販売促進作戦だ。私はといえば、注意されてばかりだ。ほら、もっと愛想よく。お客さんがいない時も突っ立っていないで自分でやることを探しなさい等々。ひと通り話し終えるとスドウさんは、私の顔をまじまじと見つめて「あなた、ご両親に大事に育てられたのね」とほほ笑んだ。その夜、お風呂で足を揉みながら、スドウさんの言葉を反芻していた。私がこの年までのほほんと生きてこられたのは、両親が懸命に働き、育ててくれたおかげだ。そんなこと、昨日までの私は考えもしなかった。そうか。スドウさんは働くことの尊さを、私に気づかせようとしたのだ!ようやく私にも風船が配れるようになった頃、バイト期間が終わった。初の給料で両親にケーキを買った。驚く二人に、実はね…と例の言葉を伝えると「過保護で気が利かない、って意味でしょ」と、母は呆れ顔で言った。えっ…そうだったの?スドウさん!?

スドウさん。おたまがぶら下がる棚の陰で、私はスドウさんからダメ出しを受けている。大学入学までの春休み。人生初のアルバイトに選んだのが、キッチン用品の店頭販売だ。スドウさんは私の指導係で、この道二十年のベテランである。知らなかった。働くって、大変だ。レジ打ちは緊張するし、商品補充は力仕事。接客には商品知識が必要だ。しかし、そんな仕事の隙を見てスドウさんは風船を膨らまし子供に声をかける。親に足を止めさせる販売促進作戦だ。私はといえば、注意されてばかりだ。ほら、もっと愛想よく。お客さんがいない時も突っ立っていないで自分でやることを探しなさい等々。ひと通り話し終えるとスドウさんは、私の顔をまじまじと見つめて「あなた、ご両親に大事に育てられたのね」とほほ笑んだ。その夜、お風呂で足を揉みながら、スドウさんの言葉を反芻していた。私がこの年までのほほんと生きてこられたのは、両親が懸命に働き、育ててくれたおかげだ。そんなこと、昨日までの私は考えもしなかった。そうか。スドウさんは働くことの尊さを、私に気づかせようとしたのだ!ようやく私にも風船が配れるようになった頃、バイト期間が終わった。初の給料で両親にケーキを買った。驚く二人に、実はね…と例の言葉を伝えると「過保護で気が利かない、って意味でしょ」と、母は呆れ顔で言った。えっ…そうだったの?スドウさん!?

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