暮らし百景アーカイブ144

ひと夏のニャン。子猫と暮らし始めた。しかも、親友のマンションで期間限定。父親の入院で帰省する彼女に泣きつかれたのだ。犬は人につくけど猫は家につくの、と。お互い長女で独身。動物を飼った経験はなかったが、力になりたいと思った。実家暮らしのわたしは、かりそめの都心ライフにも魅かれた。散歩はしなくていいし、餌も決まっている。おしっこも躾けてある。わたしは気が向いた時に相手をすればいい。そんなふうに考えていた。茶色の毛糸玉みたいな子猫は、ほんの少しケージの奥で様子をうかがった後、柵から小さな前足を出し、遊んでとせがむ。部屋に出すと大げさにのびをしてごろんと寝そべり、上目使い。撫でればゴロゴロと喉を鳴らし、ふわふわの身を寄せてくる。なのに何でもなかったように、ふっとソファーの下に隠れてしまう。諦めて自分のことをやりだすと、すれすれに体を近づけながら、わたしの足元にいる。心をわしづかみにされた。子猫一匹に、イチコロになるとは。飲み会の誘いは断って即帰る。事情は伝えたのに、ホントは彼氏ができたんですか?と、後輩にからかわれた。親友は親友で、猫が心配だの写真を送れだのとメールしてくる。その度にわたしは、お父さんは順調?ゆっくり親孝行してねと、返信するのだ。少しでもこの夏を引き延ばしたくて。

ひと夏のニャン。子猫と暮らし始めた。しかも、親友のマンションで期間限定。父親の入院で帰省する彼女に泣きつかれたのだ。犬は人につくけど猫は家につくの、と。お互い長女で独身。動物を飼った経験はなかったが、力になりたいと思った。実家暮らしのわたしは、かりそめの都心ライフにも魅かれた。散歩はしなくていいし、餌も決まっている。おしっこも躾けてある。わたしは気が向いた時に相手をすればいい。そんなふうに考えていた。茶色の毛糸玉みたいな子猫は、ほんの少しケージの奥で様子をうかがった後、柵から小さな前足を出し、遊んでとせがむ。部屋に出すと大げさにのびをしてごろんと寝そべり、上目使い。撫でればゴロゴロと喉を鳴らし、ふわふわの身を寄せてくる。なのに何でもなかったように、ふっとソファーの下に隠れてしまう。諦めて自分のことをやりだすと、すれすれに体を近づけながら、わたしの足元にいる。心をわしづかみにされた。子猫一匹に、イチコロになるとは。飲み会の誘いは断って即帰る。事情は伝えたのに、ホントは彼氏ができたんですか?と、後輩にからかわれた。親友は親友で、猫が心配だの写真を送れだのとメールしてくる。その度にわたしは、お父さんは順調?ゆっくり親孝行してねと、返信するのだ。少しでもこの夏を引き延ばしたくて。

ひと夏のニャン。子猫と暮らし始めた。しかも、親友のマンションで期間限定。父親の入院で帰省する彼女に泣きつかれたのだ。犬は人につくけど猫は家につくの、と。お互い長女で独身。動物を飼った経験はなかったが、力になりたいと思った。実家暮らしのわたしは、かりそめの都心ライフにも魅かれた。散歩はしなくていいし、餌も決まっている。おしっこも躾けてある。わたしは気が向いた時に相手をすればいい。そんなふうに考えていた。茶色の毛糸玉みたいな子猫は、ほんの少しケージの奥で様子をうかがった後、柵から小さな前足を出し、遊んでとせがむ。部屋に出すと大げさにのびをしてごろんと寝そべり、上目使い。撫でればゴロゴロと喉を鳴らし、ふわふわの身を寄せてくる。なのに何でもなかったように、ふっとソファーの下に隠れてしまう。諦めて自分のことをやりだすと、すれすれに体を近づけながら、わたしの足元にいる。心をわしづかみにされた。子猫一匹に、イチコロになるとは。飲み会の誘いは断って即帰る。事情は伝えたのに、ホントは彼氏ができたんですか?と、後輩にからかわれた。親友は親友で、猫が心配だの写真を送れだのとメールしてくる。その度にわたしは、お父さんは順調?ゆっくり親孝行してねと、返信するのだ。少しでもこの夏を引き延ばしたくて。

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