暮らし百景アーカイブ140

いる?いらない?でも…。「これはいらないよね?」1LDKの床に散らばった読みかけの雑誌やらクッキーの缶をつま先で器用によけながら、妹が確認(というよりは念押し)する。四十歳になる来月、私は夫となる人と新居に引っ越す。今までは勝手気ままに暮らしてきたけれど、これから二人で築いていく生活に、すべての私物を持ち込むわけにもいかない。何をするにも優柔不断な私は、妹の決断力を借りて断捨離に臨んでいるのだ。「うちのパート先にいる女子高生、流行りの服なんかはレンタルしたり、買ってもすぐに売っちゃうんだって」クローゼットの中をのぞきながら、妹がいう。その感覚は理解できないが、確かにここ数年着ていないスカート、カタチがあわなくなってきたニットなど“賞味期限切れの服”であふれている。思い切って、手放すか…。一枚一枚手に取って吟味していると「お姉ちゃんが上京した頃買ったやつじゃない?」と洋服の山から、千鳥格子のワンピースを引っ張りだした。それは二十年前、就職して初めてのボーナスで背伸びして買った、ブランドもののワンピース。仕事にも東京にも慣れず、富山に戻ろうか…と弱気になっていた、あの頃。この華奢な一枚に袖を通すたび、もうちょっと頑張ってみようと背中を押されたっけ。長いことクローゼットの奥に眠っていたし、さすがに…と逡巡していると、妹がさっと手を伸ばし、「これだけはお姉ちゃん貸してくれなかったよね」と言いながら、引っ越しの段ボールに忍ばせた。

いる?いらない?でも…。「これはいらないよね?」1LDKの床に散らばった読みかけの雑誌やらクッキーの缶をつま先で器用によけながら、妹が確認(というよりは念押し)する。四十歳になる来月、私は夫となる人と新居に引っ越す。今までは勝手気ままに暮らしてきたけれど、これから二人で築いていく生活に、すべての私物を持ち込むわけにもいかない。何をするにも優柔不断な私は、妹の決断力を借りて断捨離に臨んでいるのだ。「うちのパート先にいる女子高生、流行りの服なんかはレンタルしたり、買ってもすぐに売っちゃうんだって」クローゼットの中をのぞきながら、妹がいう。その感覚は理解できないが、確かにここ数年着ていないスカート、カタチがあわなくなってきたニットなど“賞味期限切れの服”であふれている。思い切って、手放すか…。一枚一枚手に取って吟味していると「お姉ちゃんが上京した頃買ったやつじゃない?」と洋服の山から、千鳥格子のワンピースを引っ張りだした。それは二十年前、就職して初めてのボーナスで背伸びして買った、ブランドもののワンピース。仕事にも東京にも慣れず、富山に戻ろうか…と弱気になっていた、あの頃。この華奢な一枚に袖を通すたび、もうちょっと頑張ってみようと背中を押されたっけ。長いことクローゼットの奥に眠っていたし、さすがに…と逡巡していると、妹がさっと手を伸ばし、「これだけはお姉ちゃん貸してくれなかったよね」と言いながら、引っ越しの段ボールに忍ばせた。

いる?いらない?でも…。「これはいらないよね?」1LDKの床に散らばった読みかけの雑誌やらクッキーの缶をつま先で器用によけながら、妹が確認(というよりは念押し)する。四十歳になる来月、私は夫となる人と新居に引っ越す。今までは勝手気ままに暮らしてきたけれど、これから二人で築いていく生活に、すべての私物を持ち込むわけにもいかない。何をするにも優柔不断な私は、妹の決断力を借りて断捨離に臨んでいるのだ。「うちのパート先にいる女子高生、流行りの服なんかはレンタルしたり、買ってもすぐに売っちゃうんだって」クローゼットの中をのぞきながら、妹がいう。その感覚は理解できないが、確かにここ数年着ていないスカート、カタチがあわなくなってきたニットなど“賞味期限切れの服”であふれている。思い切って、手放すか…。一枚一枚手に取って吟味していると「お姉ちゃんが上京した頃買ったやつじゃない?」と洋服の山から、千鳥格子のワンピースを引っ張りだした。それは二十年前、就職して初めてのボーナスで背伸びして買った、ブランドもののワンピース。仕事にも東京にも慣れず、富山に戻ろうか…と弱気になっていた、あの頃。この華奢な一枚に袖を通すたび、もうちょっと頑張ってみようと背中を押されたっけ。長いことクローゼットの奥に眠っていたし、さすがに…と逡巡していると、妹がさっと手を伸ばし、「これだけはお姉ちゃん貸してくれなかったよね」と言いながら、引っ越しの段ボールに忍ばせた。

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