暮らし百景アーカイブ131

鍵を握っているのは。いつから息子に鍵を持たせるか。共働き夫婦のわたしたちにとって、もっぱらの相談事になっている。小学2年生から、と話していたのは去年の春。ずるずるとタイミングを失って、この4月に進級したら、と話している。今日の夕飯でも同じ話題になった。3人で食卓を囲みながら、ルールを決めないとね、と妻が言う。誰も家にいないって分からないように、周りに人がいないか確かめてから鍵を出すこと。玄関のチャイムが鳴っても出ないこと。電話は一度鳴って、切れて、また鳴ったらママかパパだから、それから出るんだよ。用心することばかり話していたら、「一人の時間を楽しみたいんだよ、オレは」なんて、笑っちゃうくらい大人ぶっていた息子の顔がだんだん曇り始めた。ご飯を食べる手を止めて「やっぱり、まだいい。一人で家にいない」仕事をやりくりして、どちらかが早く帰って学童に迎えに行けるように頑張っていても、せめてあと30分仕事できれば……と思うことだってある。少しのあいだでも留守番してくれると助かるのに。3年生はもうお兄さんだし大丈夫だよと、心にかけた鍵を開けようとしても、かたくなに首を横に振り続ける。でも僕は僕で、もうすこし幼いままでいてほしいと思う気持ちが頭をもたげる。怖がる姿につい愛しくなる。はてさて。鍵を持ちはじめるのは、また春を越えてしまいそうだ。

鍵を握っているのは。いつから息子に鍵を持たせるか。共働き夫婦のわたしたちにとって、もっぱらの相談事になっている。小学2年生から、と話していたのは去年の春。ずるずるとタイミングを失って、この4月に進級したら、と話している。今日の夕飯でも同じ話題になった。3人で食卓を囲みながら、ルールを決めないとね、と妻が言う。誰も家にいないって分からないように、周りに人がいないか確かめてから鍵を出すこと。玄関のチャイムが鳴っても出ないこと。電話は一度鳴って、切れて、また鳴ったらママかパパだから、それから出るんだよ。用心することばかり話していたら、「一人の時間を楽しみたいんだよ、オレは」なんて、笑っちゃうくらい大人ぶっていた息子の顔がだんだん曇り始めた。ご飯を食べる手を止めて「やっぱり、まだいい。一人で家にいない」仕事をやりくりして、どちらかが早く帰って学童に迎えに行けるように頑張っていても、せめてあと30分仕事できれば……と思うことだってある。少しのあいだでも留守番してくれると助かるのに。3年生はもうお兄さんだし大丈夫だよと、心にかけた鍵を開けようとしても、かたくなに首を横に振り続ける。でも僕は僕で、もうすこし幼いままでいてほしいと思う気持ちが頭をもたげる。怖がる姿につい愛しくなる。はてさて。鍵を持ちはじめるのは、また春を越えてしまいそうだ。

鍵を握っているのは。いつから息子に鍵を持たせるか。共働き夫婦のわたしたちにとって、もっぱらの相談事になっている。小学2年生から、と話していたのは去年の春。ずるずるとタイミングを失って、この4月に進級したら、と話している。今日の夕飯でも同じ話題になった。3人で食卓を囲みながら、ルールを決めないとね、と妻が言う。誰も家にいないって分からないように、周りに人がいないか確かめてから鍵を出すこと。玄関のチャイムが鳴っても出ないこと。電話は一度鳴って、切れて、また鳴ったらママかパパだから、それから出るんだよ。用心することばかり話していたら、「一人の時間を楽しみたいんだよ、オレは」なんて、笑っちゃうくらい大人ぶっていた息子の顔がだんだん曇り始めた。ご飯を食べる手を止めて「やっぱり、まだいい。一人で家にいない」仕事をやりくりして、どちらかが早く帰って学童に迎えに行けるように頑張っていても、せめてあと30分仕事できれば……と思うことだってある。少しのあいだでも留守番してくれると助かるのに。3年生はもうお兄さんだし大丈夫だよと、心にかけた鍵を開けようとしても、かたくなに首を横に振り続ける。でも僕は僕で、もうすこし幼いままでいてほしいと思う気持ちが頭をもたげる。怖がる姿につい愛しくなる。はてさて。鍵を持ちはじめるのは、また春を越えてしまいそうだ。

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