暮らし百景アーカイブ128

あのときの、小さな私へ。「あ、懐かしい匂い…」その小学校の廊下に足を踏み入れると独特な匂いが鼻をくすぐった。床の木のあたたかみのある香りと、古い本の匂いが混ざり合ったものだ。“昭和レトロ”なその建物は築八十年を超える木造校舎を移築したものだそうで、自由に見学できた。ふらりと教室に入ってみると、小さな木の机と椅子が並んでいる。とても古いけれどよく使い込まれて、なんとも愛らしいたたずまいだ。小学生ってこんなに小さかったかしら。驚くと同時に、自分が小学一年生のときのある記憶がよみがえってきた。その日、私は何度も何度も教室の後ろを振り返った。母を探していたのだ。父兄参観日というのに、何かの用事で少し遅れてしまったのだろう。来ないのかな?どうしたのかな?先生の声がすうっと遠のいていく。泣きそうな気持ちでもう一度振り返ると、父兄の後ろから身を乗り出すように私を見つめる母と目が合った。私の好きな白いワンピース姿だった。うれしくてようやく黒板に向かえたなあ。あれは「こくご」の授業だった…。校舎の匂いと小さな椅子から始まった不思議なタイムスリップ。しばらく余韻にひたった後、小さな私にまたねと言って教室を出た。

あのときの、小さな私へ。「あ、懐かしい匂い…」その小学校の廊下に足を踏み入れると独特な匂いが鼻をくすぐった。床の木のあたたかみのある香りと、古い本の匂いが混ざり合ったものだ。“昭和レトロ”なその建物は築八十年を超える木造校舎を移築したものだそうで、自由に見学できた。ふらりと教室に入ってみると、小さな木の机と椅子が並んでいる。とても古いけれどよく使い込まれて、なんとも愛らしいたたずまいだ。小学生ってこんなに小さかったかしら。驚くと同時に、自分が小学一年生のときのある記憶がよみがえってきた。その日、私は何度も何度も教室の後ろを振り返った。母を探していたのだ。父兄参観日というのに、何かの用事で少し遅れてしまったのだろう。来ないのかな?どうしたのかな?先生の声がすうっと遠のいていく。泣きそうな気持ちでもう一度振り返ると、父兄の後ろから身を乗り出すように私を見つめる母と目が合った。私の好きな白いワンピース姿だった。うれしくてようやく黒板に向かえたなあ。あれは「こくご」の授業だった…。校舎の匂いと小さな椅子から始まった不思議なタイムスリップ。しばらく余韻にひたった後、小さな私にまたねと言って教室を出た。

あのときの、小さな私へ。「あ、懐かしい匂い…」その小学校の廊下に足を踏み入れると独特な匂いが鼻をくすぐった。床の木のあたたかみのある香りと、古い本の匂いが混ざり合ったものだ。“昭和レトロ”なその建物は築八十年を超える木造校舎を移築したものだそうで、自由に見学できた。ふらりと教室に入ってみると、小さな木の机と椅子が並んでいる。とても古いけれどよく使い込まれて、なんとも愛らしいたたずまいだ。小学生ってこんなに小さかったかしら。驚くと同時に、自分が小学一年生のときのある記憶がよみがえってきた。その日、私は何度も何度も教室の後ろを振り返った。母を探していたのだ。父兄参観日というのに、何かの用事で少し遅れてしまったのだろう。来ないのかな?どうしたのかな?先生の声がすうっと遠のいていく。泣きそうな気持ちでもう一度振り返ると、父兄の後ろから身を乗り出すように私を見つめる母と目が合った。私の好きな白いワンピース姿だった。うれしくてようやく黒板に向かえたなあ。あれは「こくご」の授業だった…。校舎の匂いと小さな椅子から始まった不思議なタイムスリップ。しばらく余韻にひたった後、小さな私にまたねと言って教室を出た。

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