暮らし百景アーカイブ124

新しい街で。引越しの車を見送り、玄関の扉を閉めた瞬間、ため息がこぼれた。この引越しはあまりに予定外だった。そもそも夫は転勤が多いけれど、もっと先だと聞いていた。悠太もようやく幼稚園に慣れて友達もたくさんできたし、近所にはお気に入りのカフェや花屋もあった。好きな街だったのに。前の家よりだいぶ広くなった部屋に積み上げられた段ボールの山を見て、さらに深いため息…とお腹の音。そういえば朝からまともなごはんを食べていない。元気ださなきゃ。夫がかいた簡単な地図を片手に、悠太を連れて買い物に行くことにした。橋の先に、目当てのスーパーがあるらしい。住宅街を抜けると、土手が見えてきた。息を切らして上がってみると、そこには青々とした空と川と田園風景、色とりどりの花が広がっていた。あの街では見ることがなかった、でもどこか懐かしい感覚。「それ、タンポポに似ているけど違うの。ブタナ。変わった名前でしょう」と、白い帽子を被ったおばあさんが楽しそうに話しかけてきた。「美月、そんなに走っちゃいけません」お孫さんは悠太と同い年くらいだろうか。二人して、無我夢中でひらひら舞う蝶々を追いかけている。うん。きっと大丈夫。私は目を閉じて、新しい街のやさしい川風を頬で受け止めた。

新しい街で。引越しの車を見送り、玄関の扉を閉めた瞬間、ため息がこぼれた。この引越しはあまりに予定外だった。そもそも夫は転勤が多いけれど、もっと先だと聞いていた。悠太もようやく幼稚園に慣れて友達もたくさんできたし、近所にはお気に入りのカフェや花屋もあった。好きな街だったのに。前の家よりだいぶ広くなった部屋に積み上げられた段ボールの山を見て、さらに深いため息…とお腹の音。そういえば朝からまともなごはんを食べていない。元気ださなきゃ。夫がかいた簡単な地図を片手に、悠太を連れて買い物に行くことにした。橋の先に、目当てのスーパーがあるらしい。住宅街を抜けると、土手が見えてきた。息を切らして上がってみると、そこには青々とした空と川と田園風景、色とりどりの花が広がっていた。あの街では見ることがなかった、でもどこか懐かしい感覚。「それ、タンポポに似ているけど違うの。ブタナ。変わった名前でしょう」と、白い帽子を被ったおばあさんが楽しそうに話しかけてきた。「美月、そんなに走っちゃいけません」お孫さんは悠太と同い年くらいだろうか。二人して、無我夢中でひらひら舞う蝶々を追いかけている。うん。きっと大丈夫。私は目を閉じて、新しい街のやさしい川風を頬で受け止めた。

新しい街で。引越しの車を見送り、玄関の扉を閉めた瞬間、ため息がこぼれた。この引越しはあまりに予定外だった。そもそも夫は転勤が多いけれど、もっと先だと聞いていた。悠太もようやく幼稚園に慣れて友達もたくさんできたし、近所にはお気に入りのカフェや花屋もあった。好きな街だったのに。前の家よりだいぶ広くなった部屋に積み上げられた段ボールの山を見て、さらに深いため息…とお腹の音。そういえば朝からまともなごはんを食べていない。元気ださなきゃ。夫がかいた簡単な地図を片手に、悠太を連れて買い物に行くことにした。橋の先に、目当てのスーパーがあるらしい。住宅街を抜けると、土手が見えてきた。息を切らして上がってみると、そこには青々とした空と川と田園風景、色とりどりの花が広がっていた。あの街では見ることがなかった、でもどこか懐かしい感覚。「それ、タンポポに似ているけど違うの。ブタナ。変わった名前でしょう」と、白い帽子を被ったおばあさんが楽しそうに話しかけてきた。「美月、そんなに走っちゃいけません」お孫さんは悠太と同い年くらいだろうか。二人して、無我夢中でひらひら舞う蝶々を追いかけている。うん。きっと大丈夫。私は目を閉じて、新しい街のやさしい川風を頬で受け止めた。

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