暮らし百景アーカイブ118

母の味。あれ、ない。食材を切ってつぎは煮込もうという段になって、醤油がないことに気が付いた。昼に使い切った分がどうやら最後の一本だったようだ。時刻は夜9時。夫と二人、普段だったらまあいいか、で済ますところだが、明日の朝、夜行バスで息子が東京から帰ってくる。久々の息子との朝ごはん。コートを手に取り、めったに入らない近所のコンビニへいくことにした。目と鼻の先とはいえ、店に着く頃にはすっかり冷えてしまった。少し温まってから戻ろうと、醤油をかごに入れ、店内を見るともなく見て歩く。お弁当コーナーには、社会人になりたてという風情の男性が商品を手にとっては戻し、を繰り返している。遅くまで大変だな。年は息子と同じくらいだろうか。「毎日寝に帰るようなものだよ」という言葉を思い出す。男性がいた棚を見ると、脂っこいものばかりかと思っていたが、意外にも小分けのヘルシーそうな惣菜がたくさん並んでいた。朝だそうとしている筑前煮(息子の好物)まであった。「ちゃんと食べてるの?」という私の言葉を気にしてこういうのも買っているかも…。そうほっとした反面、なぜかちょっと寂しい気もした。でも。母の味は一味違うわよね。恵一の好きな、野菜がとけ込んだ、少し甘めの味付け。私は店を出て、自分を鼓舞するように、キリリとした冬の空気を頬に受け止めた。

母の味。あれ、ない。食材を切ってつぎは煮込もうという段になって、醤油がないことに気が付いた。昼に使い切った分がどうやら最後の一本だったようだ。時刻は夜9時。夫と二人、普段だったらまあいいか、で済ますところだが、明日の朝、夜行バスで息子が東京から帰ってくる。久々の息子との朝ごはん。コートを手に取り、めったに入らない近所のコンビニへいくことにした。目と鼻の先とはいえ、店に着く頃にはすっかり冷えてしまった。少し温まってから戻ろうと、醤油をかごに入れ、店内を見るともなく見て歩く。お弁当コーナーには、社会人になりたてという風情の男性が商品を手にとっては戻し、を繰り返している。遅くまで大変だな。年は息子と同じくらいだろうか。「毎日寝に帰るようなものだよ」という言葉を思い出す。男性がいた棚を見ると、脂っこいものばかりかと思っていたが、意外にも小分けのヘルシーそうな惣菜がたくさん並んでいた。朝だそうとしている筑前煮(息子の好物)まであった。「ちゃんと食べてるの?」という私の言葉を気にしてこういうのも買っているかも…。そうほっとした反面、なぜかちょっと寂しい気もした。でも。母の味は一味違うわよね。恵一の好きな、野菜がとけ込んだ、少し甘めの味付け。私は店を出て、自分を鼓舞するように、キリリとした冬の空気を頬に受け止めた。

母の味。あれ、ない。食材を切ってつぎは煮込もうという段になって、醤油がないことに気が付いた。昼に使い切った分がどうやら最後の一本だったようだ。時刻は夜9時。夫と二人、普段だったらまあいいか、で済ますところだが、明日の朝、夜行バスで息子が東京から帰ってくる。久々の息子との朝ごはん。コートを手に取り、めったに入らない近所のコンビニへいくことにした。目と鼻の先とはいえ、店に着く頃にはすっかり冷えてしまった。少し温まってから戻ろうと、醤油をかごに入れ、店内を見るともなく見て歩く。お弁当コーナーには、社会人になりたてという風情の男性が商品を手にとっては戻し、を繰り返している。遅くまで大変だな。年は息子と同じくらいだろうか。「毎日寝に帰るようなものだよ」という言葉を思い出す。男性がいた棚を見ると、脂っこいものばかりかと思っていたが、意外にも小分けのヘルシーそうな惣菜がたくさん並んでいた。朝だそうとしている筑前煮(息子の好物)まであった。「ちゃんと食べてるの?」という私の言葉を気にしてこういうのも買っているかも…。そうほっとした反面、なぜかちょっと寂しい気もした。でも。母の味は一味違うわよね。恵一の好きな、野菜がとけ込んだ、少し甘めの味付け。私は店を出て、自分を鼓舞するように、キリリとした冬の空気を頬に受け止めた。

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