暮らし百景アーカイブ113

ライブ・イン・居間。「Fのコードがうまく弾けないんだよ」日曜の午後。雑誌をめくりながら、いつの間にかウトウトしていた私は、息子(中二)の唐突な声に起こされた。ギターだ。彼が持っているのは、学生時代に私が愛用していた国産のフォークギター。数年前、息子にゆずった(押しつけた)ものだ。どうやら、最近始めたらしい。「ほら、手首をこうして…」《ジャラーン》「すっげー、父さん、すごいね」何とか弾けているという程度の音に、息子は目を丸くして驚いている。「すごい」か。この頃はとんと無愛想な息子だが、そう言えばちょっと前までは、何かにつけて『お父さん、すごい』なんて言ってくれてたっけ。「ねえ、なんか歌ってよ。ギター弾きながら歌えるんでしょ」「んー、そうだなあ…」ほめられついで、調子にのった勢いで、昼下がりのミニライブとなった。記憶をたどりながら、懐かしのフォークソングを全三曲。「へー、けっこういい曲もあるね」「だろ。でも他はもう覚えてないなあ」とその時、さっきから特に聞くでもない様子で洗濯物をたたんでいた妻が、いたずらっぽく私に言った。「ねえ、あの曲は?」「え?」「ほら、あの名曲よ。『君の頬に〜』って曲、フフッ」「え、どんな曲?聞かせてよ」と息子。(ちょ、ちょっと待て、そりゃ勘弁だ。だってお前の母さんのために、俺が昔作った歌だぞ!)私はあわてて息子にギターを突っ返した。

ライブ・イン・居間。「Fのコードがうまく弾けないんだよ」日曜の午後。雑誌をめくりながら、いつの間にかウトウトしていた私は、息子(中二)の唐突な声に起こされた。ギターだ。彼が持っているのは、学生時代に私が愛用していた国産のフォークギター。数年前、息子にゆずった(押しつけた)ものだ。どうやら、最近始めたらしい。「ほら、手首をこうして…」《ジャラーン》「すっげー、父さん、すごいね」何とか弾けているという程度の音に、息子は目を丸くして驚いている。「すごい」か。この頃はとんと無愛想な息子だが、そう言えばちょっと前までは、何かにつけて『お父さん、すごい』なんて言ってくれてたっけ。「ねえ、なんか歌ってよ。ギター弾きながら歌えるんでしょ」「んー、そうだなあ…」ほめられついで、調子にのった勢いで、昼下がりのミニライブとなった。記憶をたどりながら、懐かしのフォークソングを全三曲。「へー、けっこういい曲もあるね」「だろ。でも他はもう覚えてないなあ」とその時、さっきから特に聞くでもない様子で洗濯物をたたんでいた妻が、いたずらっぽく私に言った。「ねえ、あの曲は?」「え?」「ほら、あの名曲よ。『君の頬に〜』って曲、フフッ」「え、どんな曲?聞かせてよ」と息子。(ちょ、ちょっと待て、そりゃ勘弁だ。だってお前の母さんのために、俺が昔作った歌だぞ!)私はあわてて息子にギターを突っ返した。

ライブ・イン・居間。「Fのコードがうまく弾けないんだよ」日曜の午後。雑誌をめくりながら、いつの間にかウトウトしていた私は、息子(中二)の唐突な声に起こされた。ギターだ。彼が持っているのは、学生時代に私が愛用していた国産のフォークギター。数年前、息子にゆずった(押しつけた)ものだ。どうやら、最近始めたらしい。「ほら、手首をこうして…」《ジャラーン》「すっげー、父さん、すごいね」何とか弾けているという程度の音に、息子は目を丸くして驚いている。「すごい」か。この頃はとんと無愛想な息子だが、そう言えばちょっと前までは、何かにつけて『お父さん、すごい』なんて言ってくれてたっけ。「ねえ、なんか歌ってよ。ギター弾きながら歌えるんでしょ」「んー、そうだなあ…」ほめられついで、調子にのった勢いで、昼下がりのミニライブとなった。記憶をたどりながら、懐かしのフォークソングを全三曲。「へー、けっこういい曲もあるね」「だろ。でも他はもう覚えてないなあ」とその時、さっきから特に聞くでもない様子で洗濯物をたたんでいた妻が、いたずらっぽく私に言った。「ねえ、あの曲は?」「え?」「ほら、あの名曲よ。『君の頬に〜』って曲、フフッ」「え、どんな曲?聞かせてよ」と息子。(ちょ、ちょっと待て、そりゃ勘弁だ。だってお前の母さんのために、俺が昔作った歌だぞ!)私はあわてて息子にギターを突っ返した。

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