暮らし百景アーカイブ107

入学前夜。「では出席をとります、○山太郎君!」「はいっ」と元気な返事。「○山次郎君!」「はーいっ」さらに大きな声が返ってくる。父の私が先生、息子二人が生徒役の「学校ごっこ」だ。こんな遊びを始めたのには、訳がある。実家の両親が長男に送ってきたランドセルが発端だ。とにかく、それが、ひとつ年下の弟には面白くない。いつも一緒に扱われてきたのに突然、差別されたと感じたらしい。「君も来年はー」と言っても通用するわけがない。兄は兄で、ランドセルを背負って得意そう。弟には絶対さわらせない。ある日、大げんかが起きた。兄のスキをみて弟がランドセルをかつぎ、家の外を歩きまわったというのだ。兄は口惜しがってワァワァ泣き出す。二人の年がもっと離れていればこんな騒ぎもなかったのだろうが…。そこで一計、弟も学校へ入れてしまえ。それが冒頭のシーンだ。「では、次は給食の時間です。今日の当番は誰ですか。」「はいっ」「はいっ」先を争って、台所へ飛んでいく。食事の後は、保険の時間と称して歯磨きだ。ふだんはグズグズしているのに、先生よろしく号令をかけるとテキパキ動く。「○山太郎君、洗面台がビショビショですよ」「はいっ」さっそく雑巾でふきはじめる。窓拭きでも、トイレ掃除でもなんでもやりそうな勢いだ。こんなに面白がってくれるとは驚きだ。体育の後のシャワーということで、息子たちと久しぶりに風呂にはいる。すっかり仲直りして、たがいに洗いっこを始めた。そんな彼らを湯船から、見ながら考える。彼らが「学校」にあれほど期待と憧れを抱いていたとは思わなかった。そう、彼らの前には、「学校時代」という無限に続く時間が広がっている。自分のことを思い起こして彼らの素朴な思いが、いとしくも、うらやましくも思った。

入学前夜。「では出席をとります、○山太郎君!」「はいっ」と元気な返事。「○山次郎君!」「はーいっ」さらに大きな声が返ってくる。父の私が先生、息子二人が生徒役の「学校ごっこ」だ。こんな遊びを始めたのには、訳がある。実家の両親が長男に送ってきたランドセルが発端だ。とにかく、それが、ひとつ年下の弟には面白くない。いつも一緒に扱われてきたのに突然、差別されたと感じたらしい。「君も来年はー」と言っても通用するわけがない。兄は兄で、ランドセルを背負って得意そう。弟には絶対さわらせない。ある日、大げんかが起きた。兄のスキをみて弟がランドセルをかつぎ、家の外を歩きまわったというのだ。兄は口惜しがってワァワァ泣き出す。二人の年がもっと離れていればこんな騒ぎもなかったのだろうが…。そこで一計、弟も学校へ入れてしまえ。それが冒頭のシーンだ。「では、次は給食の時間です。今日の当番は誰ですか。」「はいっ」「はいっ」先を争って、台所へ飛んでいく。食事の後は、保険の時間と称して歯磨きだ。ふだんはグズグズしているのに、先生よろしく号令をかけるとテキパキ動く。「○山太郎君、洗面台がビショビショですよ」「はいっ」さっそく雑巾でふきはじめる。窓拭きでも、トイレ掃除でもなんでもやりそうな勢いだ。こんなに面白がってくれるとは驚きだ。体育の後のシャワーということで、息子たちと久しぶりに風呂にはいる。すっかり仲直りして、たがいに洗いっこを始めた。そんな彼らを湯船から、見ながら考える。彼らが「学校」にあれほど期待と憧れを抱いていたとは思わなかった。そう、彼らの前には、「学校時代」という無限に続く時間が広がっている。自分のことを思い起こして彼らの素朴な思いが、いとしくも、うらやましくも思った。

入学前夜。「では出席をとります、○山太郎君!」「はいっ」と元気な返事。「○山次郎君!」「はーいっ」さらに大きな声が返ってくる。父の私が先生、息子二人が生徒役の「学校ごっこ」だ。こんな遊びを始めたのには、訳がある。実家の両親が長男に送ってきたランドセルが発端だ。とにかく、それが、ひとつ年下の弟には面白くない。いつも一緒に扱われてきたのに突然、差別されたと感じたらしい。「君も来年はー」と言っても通用するわけがない。兄は兄で、ランドセルを背負って得意そう。弟には絶対さわらせない。ある日、大げんかが起きた。兄のスキをみて弟がランドセルをかつぎ、家の外を歩きまわったというのだ。兄は口惜しがってワァワァ泣き出す。二人の年がもっと離れていればこんな騒ぎもなかったのだろうが…。そこで一計、弟も学校へ入れてしまえ。それが冒頭のシーンだ。「では、次は給食の時間です。今日の当番は誰ですか。」「はいっ」「はいっ」先を争って、台所へ飛んでいく。食事の後は、保険の時間と称して歯磨きだ。ふだんはグズグズしているのに、先生よろしく号令をかけるとテキパキ動く。「○山太郎君、洗面台がビショビショですよ」「はいっ」さっそく雑巾でふきはじめる。窓拭きでも、トイレ掃除でもなんでもやりそうな勢いだ。こんなに面白がってくれるとは驚きだ。体育の後のシャワーということで、息子たちと久しぶりに風呂にはいる。すっかり仲直りして、たがいに洗いっこを始めた。そんな彼らを湯船から、見ながら考える。彼らが「学校」にあれほど期待と憧れを抱いていたとは思わなかった。そう、彼らの前には、「学校時代」という無限に続く時間が広がっている。自分のことを思い起こして彼らの素朴な思いが、いとしくも、うらやましくも思った。

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