暮らし百景アーカイブ1

コドモノミカタ。「うわっ!」おやつを食べていた息子が突然、声をあげた。目を向けると、コップが倒れて、テーブルの上を白い液体がスーっと魔法のように広がっていくところだった。息子は、滴り落ちる牛乳をそのまま眺めている。思いがけない事態にすっかり固まってしまっている。「何してるの、早くティッシュ!」妻が駆けつけて、拭き始めた。「ほら、ユウイチも。もう年長組でしょ。ぼーっと見てちゃダメじゃない。パパも、ねえ、突っ立ってないで手伝って!」やらかした息子は、バツの悪そうな、何か言いたそうな顔をしていた。その日、ふたりで河川敷のグランドで遊んだ帰り道。息子が話してきた。「パパもしかられちゃったね」「ぼく、さいしょ、しまったと、おもったんだけど…」息子が続ける。「ぎゅうにゅうが、ひろがっていくのが、おもしろくて、ついみちゃった。ゆかにぜんぶおちてから、ふこうとおもったんだ」私は彼の、子どもらしい観察眼にも、それなりに筋が通った理屈にも、感心した。五歳の息子の振る舞いひとつにも、彼なりの理由がちゃんとあるのだ。『こぼしたミルクを嘆いても仕方がない』という諺があるが、それを失敗と決めつけるのが、大人の世界。子どもの世界は、もっと自由な発想にあふれている。「ユウイチ、あの雲の形、何に見える?」私たちは、土手に寝転がって、子どもの世界をしばらく楽しんだ。

コドモノミカタ。「うわっ!」おやつを食べていた息子が突然、声をあげた。目を向けると、コップが倒れて、テーブルの上を白い液体がスーっと魔法のように広がっていくところだった。息子は、滴り落ちる牛乳をそのまま眺めている。思いがけない事態にすっかり固まってしまっている。「何してるの、早くティッシュ!」妻が駆けつけて、拭き始めた。「ほら、ユウイチも。もう年長組でしょ。ぼーっと見てちゃダメじゃない。パパも、ねえ、突っ立ってないで手伝って!」やらかした息子は、バツの悪そうな、何か言いたそうな顔をしていた。その日、ふたりで河川敷のグランドで遊んだ帰り道。息子が話してきた。「パパもしかられちゃったね」「ぼく、さいしょ、しまったと、おもったんだけど…」息子が続ける。「ぎゅうにゅうが、ひろがっていくのが、おもしろくて、ついみちゃった。ゆかにぜんぶおちてから、ふこうとおもったんだ」私は彼の、子どもらしい観察眼にも、それなりに筋が通った理屈にも、感心した。五歳の息子の振る舞いひとつにも、彼なりの理由がちゃんとあるのだ。『こぼしたミルクを嘆いても仕方がない』という諺があるが、それを失敗と決めつけるのが、大人の世界。子どもの世界は、もっと自由な発想にあふれている。「ユウイチ、あの雲の形、何に見える?」私たちは、土手に寝転がって、子どもの世界をしばらく楽しんだ。

コドモノミカタ。「うわっ!」おやつを食べていた息子が突然、声をあげた。目を向けると、コップが倒れて、テーブルの上を白い液体がスーっと魔法のように広がっていくところだった。息子は、滴り落ちる牛乳をそのまま眺めている。思いがけない事態にすっかり固まってしまっている。「何してるの、早くティッシュ!」妻が駆けつけて、拭き始めた。「ほら、ユウイチも。もう年長組でしょ。ぼーっと見てちゃダメじゃない。パパも、ねえ、突っ立ってないで手伝って!」やらかした息子は、バツの悪そうな、何か言いたそうな顔をしていた。その日、ふたりで河川敷のグランドで遊んだ帰り道。息子が話してきた。「パパもしかられちゃったね」「ぼく、さいしょ、しまったと、おもったんだけど…」息子が続ける。「ぎゅうにゅうが、ひろがっていくのが、おもしろくて、ついみちゃった。ゆかにぜんぶおちてから、ふこうとおもったんだ」私は彼の、子どもらしい観察眼にも、それなりに筋が通った理屈にも、感心した。五歳の息子の振る舞いひとつにも、彼なりの理由がちゃんとあるのだ。『こぼしたミルクを嘆いても仕方がない』という諺があるが、それを失敗と決めつけるのが、大人の世界。子どもの世界は、もっと自由な発想にあふれている。「ユウイチ、あの雲の形、何に見える?」私たちは、土手に寝転がって、子どもの世界をしばらく楽しんだ。

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