暮らし百景アーカイブ101

母の横顔。「これでよし。母さん座ってみてよ」膝を曲げづらくなった母のために、脚の長いテーブル型のこたつを新調した。「あー、楽ちん。ありがとうね」父が病気で亡くなって、一年が過ぎた。思い出の詰まったこの家で、母は当面一人で暮らすと言い、兄弟ふたりが時々交代で、様子を見に帰省している。新しい日常が始まっている。我慢強い母は、古い家の不具合にも無頓着で、それでは困るだろうと、隙間風の入る窓を直したり、使いやすいこたつに取り換えたりしているのだが、当の本人は「もったいないし、慣れてるからいいのよ」と強がる。それでも喜ぶ顔を見ると、親孝行した気がする。そうやって母の生活を子細に眺めるようになると、意外な発見もある。例えば、カキフライ。外出先で食事となると、きまってこれを注文する。が、家族の食卓に上った記憶は少ない。「ほら、あなたたちが嫌いだったから、出さなかったのよ。ほんとは好物」家族中心に、切り盛りしてきた母の横顔に触れたような気がした。「ねぇ、ベランダの菜の花、少し持って帰らない?増えちゃったのよ」母が鉢植えを差し出す。ガーデニングは、昔から続いている母の趣味だ。草花の健気な美しさを愛でる、可憐な一面もまた母の姿だ。母のこと、青春時代や、父との暮らしのことをもっと訊いてみたくなった。そう、もらった菜の花が咲くころ、今度は家族で遊びに来ようと考えた。

母の横顔。「これでよし。母さん座ってみてよ」膝を曲げづらくなった母のために、脚の長いテーブル型のこたつを新調した。「あー、楽ちん。ありがとうね」父が病気で亡くなって、一年が過ぎた。思い出の詰まったこの家で、母は当面一人で暮らすと言い、兄弟ふたりが時々交代で、様子を見に帰省している。新しい日常が始まっている。我慢強い母は、古い家の不具合にも無頓着で、それでは困るだろうと、隙間風の入る窓を直したり、使いやすいこたつに取り換えたりしているのだが、当の本人は「もったいないし、慣れてるからいいのよ」と強がる。それでも喜ぶ顔を見ると、親孝行した気がする。そうやって母の生活を子細に眺めるようになると、意外な発見もある。例えば、カキフライ。外出先で食事となると、きまってこれを注文する。が、家族の食卓に上った記憶は少ない。「ほら、あなたたちが嫌いだったから、出さなかったのよ。ほんとは好物」家族中心に、切り盛りしてきた母の横顔に触れたような気がした。「ねぇ、ベランダの菜の花、少し持って帰らない?増えちゃったのよ」母が鉢植えを差し出す。ガーデニングは、昔から続いている母の趣味だ。草花の健気な美しさを愛でる、可憐な一面もまた母の姿だ。母のこと、青春時代や、父との暮らしのことをもっと訊いてみたくなった。そう、もらった菜の花が咲くころ、今度は家族で遊びに来ようと考えた。

母の横顔。「これでよし。母さん座ってみてよ」膝を曲げづらくなった母のために、脚の長いテーブル型のこたつを新調した。「あー、楽ちん。ありがとうね」父が病気で亡くなって、一年が過ぎた。思い出の詰まったこの家で、母は当面一人で暮らすと言い、兄弟ふたりが時々交代で、様子を見に帰省している。新しい日常が始まっている。我慢強い母は、古い家の不具合にも無頓着で、それでは困るだろうと、隙間風の入る窓を直したり、使いやすいこたつに取り換えたりしているのだが、当の本人は「もったいないし、慣れてるからいいのよ」と強がる。それでも喜ぶ顔を見ると、親孝行した気がする。そうやって母の生活を子細に眺めるようになると、意外な発見もある。例えば、カキフライ。外出先で食事となると、きまってこれを注文する。が、家族の食卓に上った記憶は少ない。「ほら、あなたたちが嫌いだったから、出さなかったのよ。ほんとは好物」家族中心に、切り盛りしてきた母の横顔に触れたような気がした。「ねぇ、ベランダの菜の花、少し持って帰らない?増えちゃったのよ」母が鉢植えを差し出す。ガーデニングは、昔から続いている母の趣味だ。草花の健気な美しさを愛でる、可憐な一面もまた母の姿だ。母のこと、青春時代や、父との暮らしのことをもっと訊いてみたくなった。そう、もらった菜の花が咲くころ、今度は家族で遊びに来ようと考えた。

image-02-s-02

一覧を見る

ご意見・ご感想をお寄せください

Page Top