暮らし百景アーカイブ92

息子を訪ねる旅。新幹線から乗り換えた、小ぶりな私鉄電車は、陽だまりの中、トコトコと山へ分け入っていく。「あ、あれよ!あのマークの建物がお兄ちゃんの研究所じゃない?」大学生の娘が、車窓を指さす。夫と娘を連れだって、久々の家族旅行である。「結構大きいのね。安心したわ」私が言うと、「お兄ちゃんも、私たちを温泉に招待できるほど、稼げるようになったのね」と、娘が冷やかした。終点の改札で、息子がはにかみながら待っていた。正月以来に見る顔だ。息子が、この地方のメーカーの研究所に勤めて三年になる。就職難の年で、おっとりした性格の息子は苦戦していたが、この職場を自分で見つけてきて決めた。「日に焼けたようね」「近所の海で、ボディボード始めたんだ。あれ、言ってなかったっけ」息子は、さっと私の荷物を持つと、トランクに入れてくれた。心なしか、腕が逞しくなったように感じた。私たちは、息子の車で、紅葉の名所を巡った。途中、パスタのおいしいレストランへも連れていかれた。「あんな、おしゃれなお店、どうやって見つけたのかしら」私が感心していると、娘が気になる一言。「彼女と来てるのに決まってるでしょ」その夜は、近くの温泉にみんなで泊まった。数ヶ月ぶりに家族が揃う夕べに、懐かしい話が弾んだ。今度ここに来る時は——、結婚相手を紹介される時かもしれないね、と夫と話しあった。

息子を訪ねる旅。新幹線から乗り換えた、小ぶりな私鉄電車は、陽だまりの中、トコトコと山へ分け入っていく。「あ、あれよ!あのマークの建物がお兄ちゃんの研究所じゃない?」大学生の娘が、車窓を指さす。夫と娘を連れだって、久々の家族旅行である。「結構大きいのね。安心したわ」私が言うと、「お兄ちゃんも、私たちを温泉に招待できるほど、稼げるようになったのね」と、娘が冷やかした。終点の改札で、息子がはにかみながら待っていた。正月以来に見る顔だ。息子が、この地方のメーカーの研究所に勤めて三年になる。就職難の年で、おっとりした性格の息子は苦戦していたが、この職場を自分で見つけてきて決めた。「日に焼けたようね」「近所の海で、ボディボード始めたんだ。あれ、言ってなかったっけ」息子は、さっと私の荷物を持つと、トランクに入れてくれた。心なしか、腕が逞しくなったように感じた。私たちは、息子の車で、紅葉の名所を巡った。途中、パスタのおいしいレストランへも連れていかれた。「あんな、おしゃれなお店、どうやって見つけたのかしら」私が感心していると、娘が気になる一言。「彼女と来てるのに決まってるでしょ」その夜は、近くの温泉にみんなで泊まった。数ヶ月ぶりに家族が揃う夕べに、懐かしい話が弾んだ。今度ここに来る時は——、結婚相手を紹介される時かもしれないね、と夫と話しあった。

息子を訪ねる旅。新幹線から乗り換えた、小ぶりな私鉄電車は、陽だまりの中、トコトコと山へ分け入っていく。「あ、あれよ!あのマークの建物がお兄ちゃんの研究所じゃない?」大学生の娘が、車窓を指さす。夫と娘を連れだって、久々の家族旅行である。「結構大きいのね。安心したわ」私が言うと、「お兄ちゃんも、私たちを温泉に招待できるほど、稼げるようになったのね」と、娘が冷やかした。終点の改札で、息子がはにかみながら待っていた。正月以来に見る顔だ。息子が、この地方のメーカーの研究所に勤めて三年になる。就職難の年で、おっとりした性格の息子は苦戦していたが、この職場を自分で見つけてきて決めた。「日に焼けたようね」「近所の海で、ボディボード始めたんだ。あれ、言ってなかったっけ」息子は、さっと私の荷物を持つと、トランクに入れてくれた。心なしか、腕が逞しくなったように感じた。私たちは、息子の車で、紅葉の名所を巡った。途中、パスタのおいしいレストランへも連れていかれた。「あんな、おしゃれなお店、どうやって見つけたのかしら」私が感心していると、娘が気になる一言。「彼女と来てるのに決まってるでしょ」その夜は、近くの温泉にみんなで泊まった。数ヶ月ぶりに家族が揃う夕べに、懐かしい話が弾んだ。今度ここに来る時は——、結婚相手を紹介される時かもしれないね、と夫と話しあった。

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