暮らし百景アーカイブ17

あなたを待ちながら。夫と外で、落ち合うはずだったのに、携帯電話を家に忘れてきてしまった。午後七時くらいに、N駅のあたりで、としか決めていない。詳細はメールでやりとりするはずだった。多分、夫は時間と場所を携帯にメールしているのだろうけど、見られない。弱った。慌てて公衆電話から夫へかけてみたが、圏外。だんだん不安になる。結局、N駅の改札口で待つしかない。きっとここを通ると思う。でも到着は、七時なのか、七時半になるのか…。押し寄せる人の群れから、夫の顔を探す。今日のスーツの色を思い出す。背は高い方で。髪は短くしていて、先週少しだけ茶色く染めた。——何だかこの感覚は久しぶりだ。心持ち、どきどきするような。そう、以前は「待ち合わせ」の時は、いつもこんな気持ちがした。付き合い始めた頃は、携帯電話がなかったから、場所を間違えたり、遅刻を伝えられなくて、失敗をした。改札で二時間も待ったことがあった。お互いに曜日を勘違いしていたのだ。なのに、次の電車には乗っているような気がして、ずっと待っていたっけ。我ながら健気だった。最近はそんなふうにときめくことあったかな。階段をのぼってくる人の中に、夫を見つけた。見慣れた顔が、ちょっと新鮮に見える。今、七時四十五分。あなたのことを、随分長く待ったのだから。今晩の食事にワインをおごってもらおうかなと、私は思いついた。

あなたを待ちながら。夫と外で、落ち合うはずだったのに、携帯電話を家に忘れてきてしまった。午後七時くらいに、N駅のあたりで、としか決めていない。詳細はメールでやりとりするはずだった。多分、夫は時間と場所を携帯にメールしているのだろうけど、見られない。弱った。慌てて公衆電話から夫へかけてみたが、圏外。だんだん不安になる。結局、N駅の改札口で待つしかない。きっとここを通ると思う。でも到着は、七時なのか、七時半になるのか…。押し寄せる人の群れから、夫の顔を探す。今日のスーツの色を思い出す。背は高い方で。髪は短くしていて、先週少しだけ茶色く染めた。——何だかこの感覚は久しぶりだ。心持ち、どきどきするような。そう、以前は「待ち合わせ」の時は、いつもこんな気持ちがした。付き合い始めた頃は、携帯電話がなかったから、場所を間違えたり、遅刻を伝えられなくて、失敗をした。改札で二時間も待ったことがあった。お互いに曜日を勘違いしていたのだ。なのに、次の電車には乗っているような気がして、ずっと待っていたっけ。我ながら健気だった。最近はそんなふうにときめくことあったかな。階段をのぼってくる人の中に、夫を見つけた。見慣れた顔が、ちょっと新鮮に見える。今、七時四十五分。あなたのことを、随分長く待ったのだから。今晩の食事にワインをおごってもらおうかなと、私は思いついた。

あなたを待ちながら。夫と外で、落ち合うはずだったのに、携帯電話を家に忘れてきてしまった。午後七時くらいに、N駅のあたりで、としか決めていない。詳細はメールでやりとりするはずだった。多分、夫は時間と場所を携帯にメールしているのだろうけど、見られない。弱った。慌てて公衆電話から夫へかけてみたが、圏外。だんだん不安になる。結局、N駅の改札口で待つしかない。きっとここを通ると思う。でも到着は、七時なのか、七時半になるのか…。押し寄せる人の群れから、夫の顔を探す。今日のスーツの色を思い出す。背は高い方で。髪は短くしていて、先週少しだけ茶色く染めた。——何だかこの感覚は久しぶりだ。心持ち、どきどきするような。そう、以前は「待ち合わせ」の時は、いつもこんな気持ちがした。付き合い始めた頃は、携帯電話がなかったから、場所を間違えたり、遅刻を伝えられなくて、失敗をした。改札で二時間も待ったことがあった。お互いに曜日を勘違いしていたのだ。なのに、次の電車には乗っているような気がして、ずっと待っていたっけ。我ながら健気だった。最近はそんなふうにときめくことあったかな。階段をのぼってくる人の中に、夫を見つけた。見慣れた顔が、ちょっと新鮮に見える。今、七時四十五分。あなたのことを、随分長く待ったのだから。今晩の食事にワインをおごってもらおうかなと、私は思いついた。

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