November|11月 霜月 記憶の中の香り 七五三の香り

November|11月 霜月 記憶の中の香り 七五三の香り

November|11月 霜月 記憶の中の香り 七五三の香り

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晴れ着できれいに着飾った小さな女の子を、街で見かけた。
七五三なのだろう。
草履に慣れないのか、足元はおぼつかず、
手をつないだ両脇の父と母に支えられながら、ゆっくりゆっくり歩いている。

初めての七五三を迎えた時の娘も、そんな感じだった。
数え年は3歳だけれど、実際はまだ2歳。
抱っこすると、まだ、赤ちゃんのミルクのような、甘い香りがほのかにする。
お祝いの当日、
店で着付けをしてもらい、顔にお粉をはたいて、リップを塗ってもらうと、
鏡に映る自分の顔をうれしそうに見つめていた。

支度が終わると緊張をこらえていたのだろうか、
「ママ、抱っこ!」とせがむ娘を抱きしめて、はっとした。
ぷっくりふくれたほっぺから、お粉の香りがふわり。

突然、「もう赤ちゃんじゃないもん!」と娘に告げられたようで、
クスッと笑いたくなる気持ちと、
少し寂しい気持ちが入り混じったのを覚えている。

あっという間に娘は大きくなって、
今はもう、ひとりでメイクをして出かけている。
それでも、この時期になると、あの時の娘のお粉の香りがよみがえってくる。

投稿:いもこさん 執筆:編集者/ライター 秋山香織

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