うだるような暑さの日が続く――。
「どうして大人の夏休みは短いのだろう?」と、文句ばかりを口にしては気が 滅入る。そこで、少しでも夏を楽しもうと、ネット通販で竹ござを注文した。
子どもの頃の夏休み、午前中はプールで思いっきり遊んで帰宅。
昼食に祖母の特製カレーを食べたら、縁側に竹ござを持っていって、そこで ゴロン。青々とした竹の香りに包まれながら、お昼寝するのが日課だった。
ひんやりとした竹に身を任せ、目を覚ませば、ほっぺたにくっきりと竹の跡。 縦に線が入った私の顔を見て、祖母が笑う。 私も頬に手をあて、けらけらと笑った。
ピンポーン。
自宅のインターホンが鳴った。届いた商品をすぐに開封し、私はそっと鼻を近 づけてみる。ふわりと漂う青々しい匂いは、幸せの香りがした。
投稿:まるんさん 執筆:ライター/脚本家 赤坂匡介