july|7月 文月 記憶の中の香り 夕立ちの香り

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忘れもしない、中学2年の夏休みのこと。
家の近くの図書館から帰ろうとすると、
雨雲が垂れ込めた空からポツリポツリと雨粒が落ちてきた。
すぐさまザアーッとひどい降り方に変わり、髪も肩も濡れていく。

すると、土からモワッと立ち上るような香りが漂ってきた。
雨の香り!
家族には不思議がられるけれど、
子どものころから、雨の降り始めにするこの香りが、私は好きでたまらない。
胸いっぱいに吸い込むと、なぜか心が躍った。

次の瞬間、
徒競走のピストルが鳴ったかのように、
降りしきる雨の中を走り抜けていた。

暑さで火照った体に、雨のシャワーはなんて心地いいんだろう。
際立つ雨の香りを吸い込み、びしょ濡れになりながら、
私は何からも自由になっていた。

夕立ちが降り出すと、雨の香りを楽しみながら、
あの日のすがすがしさを思い出す。
もう、あんな無茶はできないけれど。

投稿:かぁ〜りさん 執筆:編集者/ライター 秋山香織

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