くらしのコミュニティサイト「みんなのホーホー」のサポーター、 チエブクロウのチエさんにちなんでお届けする、フクロウの企画。 第2弾となる今回は、各地におけるフクロウと人とのかかわり、文化などについてご紹介いたします。
室町時代、フクロウは邪気を払いのける鳥、天眼力や神通力に長けた鳥というイメージを持たれていました。狩りに優れ、農業の守り手とも思われていたようです。寺院をはじめとする建造物や手水鉢などにも、フクロウが彫られているものがあります。
江戸時代に入ると、中国から伝わった不吉なイメージが強くなっていきましたが、民間では「フクロウは神通力を持っている」という伝説も受け継がれており、疱瘡(ほうそう)避けのまじないとしてフクロウの張子やおもちゃが用いられたり、客寄せのため薬屋の店先に生きたフクロウを置いていたりしたといいます。
「フクロウ」という呼び名は奈良時代からあったようです。その由来は、鳴き方と方言が結びついた、など諸説あります。一説によれば、中国に古くから伝わる「母を食う親不孝な鳥」という説が伝来して「ははくらふ(母食らう)」「はふくらう(父母食らう)」となったとか。でもやがて「不苦労」「福籠」という字をあてられることから縁起の良い名前とされるようになり、今では幸運の鳥として愛されています。
「万物は神(カムイ)が姿を変えたもの」と考える北海道のアイヌの人たちの間では、フクロウは特別に崇められてきました。大型のシマフクロウは、「コタンコロ・カムイ(集落を守る神)」や「モシリコロ・カムイ(大地を守る神)」、小型のエゾフクロウは「クンネレク・カムイ(夜に鳴く神)」などと呼ばれ、地域によっては、太陽の次に偉い神でもあったようです。アイヌの文化には、神に感謝し、生活を支えてくれる動物の魂を神の国に送り返す「イオマンテ」という儀式があります。主にクマに対して行われますが、クマより位の高い神として、フクロウに対して行っていた地域もあります。
フクロウの宿敵はカラスだといわれますが、民話の中にもそんな話が出てきます。フクロウはむかし染物屋をしており、鳥たちの羽を好みの色に染める仕事をしていました。あるとき白いカラスがやってきて、一番美しい色にしてほしいと言いました。ところが注文に応じてあれこれやってみるうち、羽は真っ黒になってしまい、カラスは激怒。フクロウを追いかけ回すようになったので、フクロウはついにカラスを避けて夜活動するようになったとのこと。
栃木県と茨城県の県境にある「鷲子山上(とりのこさんしょう)神社」では、 大神様の御使いとしてフクロウが祀られています。 人々に幸運を呼ぶ鳥として信仰されるほか、「不苦労(苦労がないこと)」などと言われ、 幸運や縁起担ぎの象徴としても慕われており、年間を通し多くの人が参拝に訪れます。 また神社の奥に広がる手つかずの原生林には、現在も野生のフクロウが生息しており、 夜になると鳴き声が聞こえるなど、地元の人々にとってフクロウは身近な存在でもあるのだそう。
1200年の歴史がある鷲子山上神社は、 大鳥居の中央が栃木県と茨城県の県境という、全国でも珍しい神社です。 さまざまなフクロウが祀られ、運気上昇・金運福徳・厄難消除を願う人で賑わいます。
さまざまなフクロウの御守りや記念品が。
みなさまの幸福(不苦労)をご祈念致します。
ギリシャ神話に登場する女神のひとり、戦略に長け、アテネ市の守護神と謳われた知恵の女神アテナ。フクロウはそんなアテナの従者として登場します。畑を荒らすネズミや虫などを捕食する益鳥としても大切にされ、古代ギリシャの貨幣にも描かれました。またローマ神話では、アテナはミネルヴァという女神に置き換えられますが、ミネルヴァのそばにもやはりフクロウがいます。このように知恵を司る女神の聖鳥だったことから、フクロウは知恵の象徴といわれるようになりました。
殷(いん)の時代には、フクロウは悪魔を払いのける鳥と考えられ、当時の礼器、祭器として用いられた青銅製の器や像にはフクロウを形取ったものが多く見られます。でも、暗闇でも周りを見通すことができ、群れることなく音をたてずに狩りをするという性質のせいか、その1000年後には、不吉で邪悪な猛鳥とみなされるようになり、稲妻や暴風雨と関連づけられたりされるようになりました。
まだ医療が発達していない時代、フクロウにはこんな薬効があると考えられていました。もちろんどれも医学的根拠はありません。
神秘的なたたずまいや、夜活動することなどが、想像や畏敬の念をかきたてるからでしょうか。 地域や時代により、邪悪な鳥にも、神聖な知恵の象徴にもなってきたフクロウの世界。 知れば知るほど奥が深いですね!
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