これまで3回にわたり、サステナブルなくらし―
「Kirei Lifestyle」の実現に向けた花王の取り組みをご紹介してきました。
各記事をご覧いただいた会員のみなさまから寄せられた質問や疑問に対して、
それぞれの取り組みに携わる担当者がお答えします。
花王では、「ごみゼロ」への第一歩として、店頭に並んでいるボディソープやシャンプー、洗剤などに貼ってある、商品の特長や使用上の説明が書かれたプラスチック製アイキャッチシールを2021年末までに撤廃することを宣言しました。このプロジェクトには、花王の多くの部署が関わり、一丸となって取り組んでいることを担当者コメントと共にご紹介しました。
ごみを減らすためのキーワードに“3R”というものがあります。Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つですね。リデュースは減らすこと、リユースは繰り返し使うこと、リサイクルは資源として再び利用することです。花王のプラスチック製アイキャッチシール撤廃活動は、この中のプラスチックごみのリデュースになります。
プラスチックごみを減らすためには、この3Rを意識することが大事だと思います。例えば、“リデュース”のためにはプラスチック使用量の多いボトルではなくつめかえ用を買う、“リユース”は衛生や安全に気を使いながら繰り返し使う、“リサイクル”は再生できる、もしくは再生された容器を使う、といったことだと思います。プラスチック製品を買うときや捨てるときに、少しでもいいので“3R”を意識してみてはいかがでしょうか。
障がいの有無、年齢や性別・言語や文化などを問わず、あらゆる人が利用しやすいデザインが「ユニバーサルデザイン」の基本コンセプトです。ユニバーサルデザインは、花王の“よきモノづくり”の考え方に通じるものであり、独自に「花王ユニバーサルデザイン指針」を策定し、さまざまな商品のパッケージに取り入れていることをご紹介しました。
弊社には生活者コミュニケーションセンターという部門や、Kao PLAZAのようなコミュニティサイトがあります。それらを通じて、日々お客さまより商品についてのご意見が寄せられています。
一つは、そのようなお言葉を真摯に受け止めて容器開発の参考にさせていただいています。また、もう一方では商品開発の過程で容器に関する使いやすさの調査を行う場合には、直接お客さまのご意見をうかがえる機会がありますので、それらの声も参考にさせていただきながら容器開発を実施しています。
家事にかかる労働を半減させ、感動2倍を容器で実現したいというのが我々の一つの目標であり、今後はそういったコンセプトの容器を出していきたいと考えています。
例えば、お風呂そうじでスプレー式の洗剤を使うならば、スプレー動作が楽しくカンタンにできるようなもの、というイメージです。ぜひ、楽しみにお待ちください!
洗剤の洗浄成分(界面活性剤)の原料となるアブラヤシは、環境問題や生産地の社会問題から、原料として将来性が不安視されています。花王は、食用に適さず有効利用が進んでいなかった部分の油脂を使った高機能の界面活性剤『バイオIOS』を開発。世界で不可能だと思われていたことを唯一、花王が実現し製品に取り入れたことをご紹介しました。
現在私たちが使用している界面活性剤のほとんどは天然油脂を主原料としていますので、十分な生分解性(物質が土壌や水中の微生物によって分解される性質のこと)と、水生生物毒性(海や川にいる生物への悪影響)も十分に低いことが認められています。つまり、地球にやさしくても洗浄力が高い洗浄剤は数多く存在していると言えます。
ただし、完全に天然原料だけで製造している界面活性剤はまだまだ種類が少なく、それだけで十分な洗浄力を得るためには、かなりの努力が必要となります。
しかし、その一つの成果が『バイオIOS』なのです。花王では界面活性剤そのものの研究だけではなく、対象となる汚れや、汚れに含まれる成分、汚れがついている場所(衣類、床など)など、洗浄に関わる全ての対象物の研究を行っています。これらの研究結果から、どのような界面活性剤がどこにどのように作用すれば効率的に汚れを除去できるのかを、日夜議論し、実用化を目指しています。
現在、『バイオIOS』は衣料用洗剤だけに使用されていますが、シャンプーや全身洗浄料などの香粧品洗浄剤、食器用洗剤、住居用洗剤など多岐にわたる製品に使用できる可能性を持つ界面活性剤です。
ただ、製品を開発していくうえでは、お客さまの通常の使用方法で洗浄力が発揮できるのはもちろんのこと、使用感や心地良さ(製品ごとに異なります)、長期保存をした後でも問題なく使えるなど数多くの条件を満たす必要があります。
そのため、さまざまな洗浄剤において『バイオIOS』はどのような使い方をするべきなのか?本当にこの製品に『バイオIOS』を使用することがお客さま、そして地球に適切なのか?という視点から日々研究を進めているところです。
ここまで、みなさまに寄せられた質問を通して持続可能なくらしへの取り組みをより深くご紹介しました。
しかし、実際に何をしていけばいいのかと言われると少し悩んでしまうかも。
未来のために私たちができること、改めて聞いてみました。
最近メディアでよく見かけるSDGs(2015年に国連で採択された持続可能な開発⽬標)の中では“気候変動への対策”“海の豊かさ”“陸の豊かさ”が地球環境対策のキーワードとなっています。
これらのキーワードに対して自分がどのように役に立てるかを考えることが大事だと思います。例えば、“気候変動への対策”についてはCO2の削減が大きな課題です。生活の中で少しでもごみを減らすことが地球環境の改善につながると思います。また、“海の豊かさ”“陸の豊かさ”については、私たちが消費することで海や陸の環境が壊れていないかを考えることです。海や陸から原料や材料を採取することによって地球環境を壊している製品ではないかを考えて選ぶとか、使ったあとのごみが海や陸を汚していないかも重要です。少しでもムダにプラスチックを使っていないかをふだんのくらしの中で意識して行動することも大切だと思います。
誰もが過ごしやすい「くらしづくり」を実現するために、これをやれば全てうまくいくというような具体的な行動を明示することは非常に難しいと思います。ただ、例えば、「片手で物を持っている=片手が不自由な方も同じ状況」と置き換え、物事を考えてみると、いろいろなところに不自由さが見えてくることもあるかと思います。
そういうことを一つずつ解決していくと、どんどん誰もがくらしやすくなる気がします。また、視野を広げるのではなく、グッと焦点を当てた考え方をすることで違った風景が見えてくることもあるかもしれません。
現在、さまざまなSDGsを謳った製品が紹介されるようになってきました。しかし、ごく一面的な視点から環境にやさしいと説明されているだけで、違う見方をすると決して環境にやさしくないという例も数多くあるように思えます。実際には、それらを見破るのは非常に難しいことです。なので、私も含めてみなさまが本当に気を付けるべきことは、本来、日本人が持っている「心づかい」をして生活することではないかと思います。「いつも少し余分に洗剤を投入していたけど推奨量にしてみよう!」とか、自分の周りにあるちょっとしたところに思いを馳せる積み重ねが、自分自身、社会、そして地球にプラスに働いていくと思っています。あまりストイックになりすぎず、ご自分の快適・満足からもう少し視野を広げて、他人や地球に少しだけ思いを馳せながら継続することが大切なのではないでしょうか。