障がいの有無、年齢や性別・言語や文化などを問わず、あらゆる人が利用しやすいデザイン。それが、ユニバーサルデザインの基本コンセプトであり、私たちがくらしで利用する製品・建物・空間・環境など、さまざまなものに取り入れられています。
ロナルド・メイス博士が提唱したユニバーサルデザインは、花王の“よきモノづくり”の考え方にも通じるものです。
花王では独自に「花王ユニバーサルデザイン指針」を策定し、より多くのお客さまに永く愛着を持ってご利用いただける製品やサービスづくりに努めています。
“人にやさしいモノづくり”
パッケージに隠された
ひみつをご紹介!
花王ユニバーサルデザイン指針の一つ「人にやさしいモノづくり」の基本は、「使いやすさ」「安全」「わかりやすさ」の追求です。その最新の取り組み例を、実際のパッケージで見てみましょう。
力の弱い人でも片手で扱え、いちいちキャップで洗剤を計量する必要がないなど、「さまざまな生活者にとっての「使いやすさ」を実現。また、プラスチック量を極力減らすという環境への配慮もなされています。
幅広い年代の方にとって使いやすいよう、従来よりも軽い力で噴射できるスプレーを目指し、噴射口部分にテコの原理を用いました。「くぼみ付きボタン」で液が出る方向もわかりやすく、見えない後ろも、狙い通りにスプレーしやすくなりました。
花王のユニバーサルデザイン
をカタチにする
包装技術研究所を
ご紹介します!
お客さまの声と向き合い、研究と試行錯誤を繰り返しながら
花王全商品の包装容器を生み出している包装技術研究所。
消費財メーカーで包装容器を専門的に開発する部門があるケースは少なく、
花王の包装技術研究所は稀な存在です。そこで今回、稲川所長にお話を伺ってみました。
生産機械部門で10年の経験を積んだのち、包装容器の技術研究の道へ。現在、所長として研究所を統括するとともに、月1回、キャリア10年以下のスタッフを集めて勉強会を開くなど、後進の育成にも力を入れている。
花王のユニバーサルデザインの代表的な
取り組みを教えてください
1991年に商品化したシャンプー容器の側面に付けた「きざみ」だと思っています。花王がユニバーサルデザインの定義を具現化した最初の商品であり、代表的な取り組みと言えるでしょうね。
1989年、花王の消費者相談窓口に寄せられた要望が、シャンプー容器に付いているギザギザ状の「きざみ」が誕生するきっかけでした。
1990年に誤使用の実態調査を実施したところ、約6割の人が洗髪時にシャンプーとリンスを間違えたことがあると回答。それを受け、盲学校でのリサーチと並行しながら識別方法を模索し、完成したのが「きざみ入り容器」です。これは、他メーカーとも共通の識別方法として業界標準になっています。
最新の取り組みを教えてください
ラクラクecoパックを発売した時に、多くのお客さまから「感動した」という言葉をいただき、逆に私たちの方が感動しました。その思いを忘れることなく、さらにお客さまに喜んでいただける、「うれしい」をカタチにするモノづくりに力を入れています。
それまでつめかえ商品に関して96%の人が「つめかえづらい」と答えていたのですが、「ラクラクecoパック」を発売すると96%の人が「すごく使いやすい」と言ってくれるようになりました。このような機能性も含めてお客さまに喜んでもらえる商品の開発を目指しています。
“よきモノづくり”に向けて
研究所全体で大切にしていることは?
花王の容器は「使いやすい」というお声をいただくことがあります。それを生み出しているのは、開発者たちの「こだわり」「しつこさ」「粘り強さ」だと思っています。
私が考える“よきモノづくり”とは、“人づくり”に通じると思っています。諸先輩から受け継いだ「こだわり」、「しつこさ」や「粘り強さ」を、いかに若手研究員に伝えるか。それが“よきモノづくり”として取り組んでいることと言えるかもしれません。
ユニバーサルデザインを考えるときに
心がけていることは?
常にシンプルさを心がけています。お客さまは、いちいち商品の使用方法などを確認せずになにげなく使われることが非常に多い。
お客さまが何も考えず直感的に商品を使うにはシンプルなものでなければなりません。それがユニバーサルデザインやモノづくりに関する私の考えです。
ユニバーサルデザインを考えるにあたっては、それまでの考えを否定しなければいけないこともあります。
例えば、洗剤であれば計量しやすくするアプローチから「アタックZERO」のように、いちいち計る手間を省いた設計にしたり、「つめかえやすさ」を追求する一方で「スマートホルダー」などのように「つめかえない」発想に転換することも。全ては商品を使われるお客さまの視点に立ったものです。
人や社会とつながるモノづくりをめざして頑張ります!
花王のユニバーサルデザインを通して、
みなさんに豊かな生活体験を提供したい。
時代や生活様式が変わっても、
その思いは変わりません。
これからも花王社員は一丸となって
“よきモノづくり”に取り組んでいきます。