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第1話 ロング・ツーリング。 実家に帰ると、父が庭先でバイクを磨いている。大きな車体が陽を受けて、ピカピカと光っている。 「お父さん、それ?」 「やっぱり新車はいいだろ」 父はこれまで、定年を過ぎて買ったバイクに十年近く乗り続けていた。さすがに近頃は修理に出すことも増え、そのたびに買い替えを勧めても「まだ乗れるしなあ」と返事を濁していた。その父が、バイクを買い替えたのだ。

第1話 ロング・ツーリング。 実家に帰ると、父が庭先でバイクを磨いている。大きな車体が陽を受けて、ピカピカと光っている。 「お父さん、それ?」 「やっぱり新車はいいだろ」 父はこれまで、定年を過ぎて買ったバイクに十年近く乗り続けていた。さすがに近頃は修理に出すことも増え、そのたびに買い替えを勧めても「まだ乗れるしなあ」と返事を濁していた。その父が、バイクを買い替えたのだ。

第1話 ロング・ツーリング。 実家に帰ると、父が庭先でバイクを磨いている。大きな車体が陽を受けて、ピカピカと光っている。 「お父さん、それ?」 「やっぱり新車はいいだろ」 父はこれまで、定年を過ぎて買ったバイクに十年近く乗り続けていた。さすがに近頃は修理に出すことも増え、そのたびに買い替えを勧めても「まだ乗れるしなあ」と返事を濁していた。その父が、バイクを買い替えたのだ。

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「目がちょっと見えにくいんだ」と言い出したのは春先のこと。白内障だった。大事を取り、手術が済むまでしばらく、バイクを封印する決意をした。 何かと用事を作っては遠乗りをしていた父が一転、日がな一日黙ってテレビをながめている。母が、どこか散歩にでも行けば?と勧めても「今日は、なあ」とあいまいな返事。 手術が無事に終わってからも、こんな調子で日々は過ぎ、季節は秋になっていた。

「目がちょっと見えにくいんだ」と言い出したのは春先のこと。白内障だった。大事を取り、手術が済むまでしばらく、バイクを封印する決意をした。 何かと用事を作っては遠乗りをしていた父が一転、日がな一日黙ってテレビをながめている。母が、どこか散歩にでも行けば?と勧めても「今日は、なあ」とあいまいな返事。 手術が無事に終わってからも、こんな調子で日々は過ぎ、季節は秋になっていた。

「目がちょっと見えにくいんだ」と言い出したのは春先のこと。白内障だった。大事を取り、手術が済むまでしばらく、バイクを封印する決意をした。 何かと用事を作っては遠乗りをしていた父が一転、日がな一日黙ってテレビをながめている。母が、どこか散歩にでも行けば?と勧めても「今日は、なあ」とあいまいな返事。 手術が無事に終わってからも、こんな調子で日々は過ぎ、季節は秋になっていた。

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きっかけは、仲間から久々に誘われた半年ぶりのツーリングだったそうだ。 「世界が輝いて見える!」 山のもみじも空も雲も、鮮やかに父を歓迎していた。衝撃だった。もっと走りたい。これから先できるだけ長く…。「で、新しいバイク、清水の舞台から飛び降りるつもりで買っちゃった」

きっかけは、仲間から久々に誘われた半年ぶりのツーリングだったそうだ。 「世界が輝いて見える!」 山のもみじも空も雲も、鮮やかに父を歓迎していた。衝撃だった。もっと走りたい。これから先できるだけ長く…。「で、新しいバイク、清水の舞台から飛び降りるつもりで買っちゃった」

きっかけは、仲間から久々に誘われた半年ぶりのツーリングだったそうだ。 「世界が輝いて見える!」 山のもみじも空も雲も、鮮やかに父を歓迎していた。衝撃だった。もっと走りたい。これから先できるだけ長く…。「で、新しいバイク、清水の舞台から飛び降りるつもりで買っちゃった」

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来週はどこぞの山へ、その次は海岸沿いをいつもの仲間と。聞けば、週末の予定はだいぶ先まで埋まっているようだ。「すっかり忙しくなっちゃって。無理しないでよ」と母は笑う。そうそう。安全運転で頼みますよ。

来週はどこぞの山へ、その次は海岸沿いをいつもの仲間と。聞けば、週末の予定はだいぶ先まで埋まっているようだ。「すっかり忙しくなっちゃって。無理しないでよ」と母は笑う。そうそう。安全運転で頼みますよ。

来週はどこぞの山へ、その次は海岸沿いをいつもの仲間と。聞けば、週末の予定はだいぶ先まで埋まっているようだ。「すっかり忙しくなっちゃって。無理しないでよ」と母は笑う。そうそう。安全運転で頼みますよ。

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2018年6月掲載

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