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第1話 手のひらの友達。 「寝てるだけだよ」「またあとで起きるよ」必死になって事実を受け入れまいとしている五才の娘を、妻が膝の上に乗せて抱きしめた。と、その瞬間、娘は堰を切ったように大声で泣き出した。「ママー、キミちゃんが死んじゃった」 「キミ」は、二年前に妻が友人からもらってきたオスのハムスター。ハとムを合わせて、「公(キミ)」というわけだ。

第1話 手のひらの友達。 「寝てるだけだよ」「またあとで起きるよ」必死になって事実を受け入れまいとしている五才の娘を、妻が膝の上に乗せて抱きしめた。と、その瞬間、娘は堰を切ったように大声で泣き出した。「ママー、キミちゃんが死んじゃった」 「キミ」は、二年前に妻が友人からもらってきたオスのハムスター。ハとムを合わせて、「公(キミ)」というわけだ。

第1話 手のひらの友達。 「寝てるだけだよ」「またあとで起きるよ」必死になって事実を受け入れまいとしている五才の娘を、妻が膝の上に乗せて抱きしめた。と、その瞬間、娘は堰を切ったように大声で泣き出した。「ママー、キミちゃんが死んじゃった」 「キミ」は、二年前に妻が友人からもらってきたオスのハムスター。ハとムを合わせて、「公(キミ)」というわけだ。

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娘はすぐにこの小さな友達と仲良くなり、特にここ一年はほとんど世話を自分でするほど可愛がっていた。 しかし、別れは突然だった。朝、娘がカゴをのぞくと、「彼」はコロンと横たわっていたのだ。じっと、動かずに。 「ごはん足りなかったのかな」「ホントは病気だったのかな」妻の膝に抱かれたまま、娘は泣いた。

娘はすぐにこの小さな友達と仲良くなり、特にここ一年はほとんど世話を自分でするほど可愛がっていた。 しかし、別れは突然だった。朝、娘がカゴをのぞくと、「彼」はコロンと横たわっていたのだ。じっと、動かずに。 「ごはん足りなかったのかな」「ホントは病気だったのかな」妻の膝に抱かれたまま、娘は泣いた。

娘はすぐにこの小さな友達と仲良くなり、特にここ一年はほとんど世話を自分でするほど可愛がっていた。 しかし、別れは突然だった。朝、娘がカゴをのぞくと、「彼」はコロンと横たわっていたのだ。じっと、動かずに。 「ごはん足りなかったのかな」「ホントは病気だったのかな」妻の膝に抱かれたまま、娘は泣いた。

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しばらくしてから、私と妻は娘に話した。生き物には寿命があること。世話をしていた娘のせいではないこと。そして、きっと「キミ」も幸せだったということを。 庭に出て、お墓を作ることにした。初めは「淋しくないように、お庭のまん中に埋めてあげるの」と主張していた娘も、「すみっこの方が静かに眠れるから」という妻の言葉に納得した。

しばらくしてから、私と妻は娘に話した。生き物には寿命があること。世話をしていた娘のせいではないこと。そして、きっと「キミ」も幸せだったということを。 庭に出て、お墓を作ることにした。初めは「淋しくないように、お庭のまん中に埋めてあげるの」と主張していた娘も、「すみっこの方が静かに眠れるから」という妻の言葉に納得した。

しばらくしてから、私と妻は娘に話した。生き物には寿命があること。世話をしていた娘のせいではないこと。そして、きっと「キミ」も幸せだったということを。 庭に出て、お墓を作ることにした。初めは「淋しくないように、お庭のまん中に埋めてあげるの」と主張していた娘も、「すみっこの方が静かに眠れるから」という妻の言葉に納得した。

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ガーゼに包んだ体を土に埋め、石を置く。目をつぶり、手をあわせる娘。その頬を、さっき枯れたはずの涙が一滴(しずく)、つたって落ちた。

ガーゼに包んだ体を土に埋め、石を置く。目をつぶり、手をあわせる娘。その頬を、さっき枯れたはずの涙が一滴(しずく)、つたって落ちた。

ガーゼに包んだ体を土に埋め、石を置く。目をつぶり、手をあわせる娘。その頬を、さっき枯れたはずの涙が一滴(しずく)、つたって落ちた。

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  • 第2話 雨の日のたからもの。を読む

2017年8月掲載

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