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第4話 今夜はふたりで。金曜夕方6時、銀座。街を彩る、華やかなショーウィンドウを横目に待ち合わせの場所へと向かう。今夜は夫とふたりきりで映画を観に行くことになっている。娘の実来を、母に預けて。 きっかけは先日も我が家に来ていた母の一言。「これ町内会で当たったの。たまには健介さんと行ってらっしゃいよ。ほら、来週結婚記念日でしょ」と映画のチケットをバッグから出した。 「でも」私が躊躇していると、実来はどこで覚えたのか「パパとおデートいってらっしゃい」と母と目配せをしながら、はにかんだ。その様子に後押しされたというわけだ。

第4話 今夜はふたりで。金曜夕方6時、銀座。街を彩る、華やかなショーウィンドウを横目に待ち合わせの場所へと向かう。今夜は夫とふたりきりで映画を観に行くことになっている。娘の実来を、母に預けて。 きっかけは先日も我が家に来ていた母の一言。「これ町内会で当たったの。たまには健介さんと行ってらっしゃいよ。ほら、来週結婚記念日でしょ」と映画のチケットをバッグから出した。 「でも」私が躊躇していると、実来はどこで覚えたのか「パパとおデートいってらっしゃい」と母と目配せをしながら、はにかんだ。その様子に後押しされたというわけだ。

第4話 今夜はふたりで。金曜夕方6時、銀座。街を彩る、華やかなショーウィンドウを横目に待ち合わせの場所へと向かう。今夜は夫とふたりきりで映画を観に行くことになっている。娘の実来を、母に預けて。 きっかけは先日も我が家に来ていた母の一言。「これ町内会で当たったの。たまには健介さんと行ってらっしゃいよ。ほら、来週結婚記念日でしょ」と映画のチケットをバッグから出した。 「でも」私が躊躇していると、実来はどこで覚えたのか「パパとおデートいってらっしゃい」と母と目配せをしながら、はにかんだ。その様子に後押しされたというわけだ。

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夫と映画を観るなんて、何年ぶりだろう。結婚前は仕事の帰りや週末よく来ていたっけ。そんなことを考えていると、交差点から「ごめん!」と息をきらして走ってくる夫の姿が見えた。 かつてよりも足取りは重く、お腹もだいぶ立派になっていたけれど、一瞬結婚前の姿と重なる。私も久々の歩き慣れないヒールと、少し照れくさい気持ちで、夫の元へと向かった。

夫と映画を観るなんて、何年ぶりだろう。結婚前は仕事の帰りや週末よく来ていたっけ。そんなことを考えていると、交差点から「ごめん!」と息をきらして走ってくる夫の姿が見えた。 かつてよりも足取りは重く、お腹もだいぶ立派になっていたけれど、一瞬結婚前の姿と重なる。私も久々の歩き慣れないヒールと、少し照れくさい気持ちで、夫の元へと向かった。

夫と映画を観るなんて、何年ぶりだろう。結婚前は仕事の帰りや週末よく来ていたっけ。そんなことを考えていると、交差点から「ごめん!」と息をきらして走ってくる夫の姿が見えた。 かつてよりも足取りは重く、お腹もだいぶ立派になっていたけれど、一瞬結婚前の姿と重なる。私も久々の歩き慣れないヒールと、少し照れくさい気持ちで、夫の元へと向かった。

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あの頃のように、少し大きめのポップコーンと各々の飲み物を傍らに据える。夫はSF映画が好きで、逆に恋愛ものや、何気ない日常を描いたような話にはほぼ興味がなく、寝てしまうこともあった。この映画はまさに後者で、幼い女の子と子犬の友情を描いたほのぼのとした話。 しかし夫は、いま、食い入るようにスクリーンを見ている。

あの頃のように、少し大きめのポップコーンと各々の飲み物を傍らに据える。夫はSF映画が好きで、逆に恋愛ものや、何気ない日常を描いたような話にはほぼ興味がなく、寝てしまうこともあった。この映画はまさに後者で、幼い女の子と子犬の友情を描いたほのぼのとした話。 しかし夫は、いま、食い入るようにスクリーンを見ている。

あの頃のように、少し大きめのポップコーンと各々の飲み物を傍らに据える。夫はSF映画が好きで、逆に恋愛ものや、何気ない日常を描いたような話にはほぼ興味がなく、寝てしまうこともあった。この映画はまさに後者で、幼い女の子と子犬の友情を描いたほのぼのとした話。 しかし夫は、いま、食い入るようにスクリーンを見ている。

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クライマックス。少女が雨の中、子犬を探すシーンを迎えたとき。隣からは、すすり泣く声。実来と重なったのかな。それは初めて垣間見た夫の姿だった。これからはこんな時間も大切にしよう、私はそっとハンカチを差し出した。

クライマックス。少女が雨の中、子犬を探すシーンを迎えたとき。隣からは、すすり泣く声。実来と重なったのかな。それは初めて垣間見た夫の姿だった。これからはこんな時間も大切にしよう、私はそっとハンカチを差し出した。

クライマックス。少女が雨の中、子犬を探すシーンを迎えたとき。隣からは、すすり泣く声。実来と重なったのかな。それは初めて垣間見た夫の姿だった。これからはこんな時間も大切にしよう、私はそっとハンカチを差し出した。

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2017年2月掲載

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