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第2話 久しぶりの帰省。今年は一週間ほど、ゆっくりと実家で過ごした。帰省が数年ぶりだったのと、例年になく夏休みがきちんと取れたからだ。「ねえ、ここにお父さんの名前が書いてあるよ。なんかの数字と線も」息子がその「記録」を発見したのは東京に帰る日の朝だった。

第2話 久しぶりの帰省。今年は一週間ほど、ゆっくりと実家で過ごした。帰省が数年ぶりだったのと、例年になく夏休みがきちんと取れたからだ。「ねえ、ここにお父さんの名前が書いてあるよ。なんかの数字と線も」息子がその「記録」を発見したのは東京に帰る日の朝だった。

第2話 久しぶりの帰省。今年は一週間ほど、ゆっくりと実家で過ごした。帰省が数年ぶりだったのと、例年になく夏休みがきちんと取れたからだ。「ねえ、ここにお父さんの名前が書いてあるよ。なんかの数字と線も」息子がその「記録」を発見したのは東京に帰る日の朝だった。

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彼が不思議そうに眺めている居間の柱に近づいて見てみると(おそらく亡くなった父親の字であろう)、確かにうっすらと私の名前、横線、そして84・8という数字が記されている。これは一九八四年の八月という意味か。三十二年前の私、今の息子と同じ十才の時の私だ。

彼が不思議そうに眺めている居間の柱に近づいて見てみると(おそらく亡くなった父親の字であろう)、確かにうっすらと私の名前、横線、そして84・8という数字が記されている。これは一九八四年の八月という意味か。三十二年前の私、今の息子と同じ十才の時の私だ。

彼が不思議そうに眺めている居間の柱に近づいて見てみると(おそらく亡くなった父親の字であろう)、確かにうっすらと私の名前、横線、そして84・8という数字が記されている。これは一九八四年の八月という意味か。三十二年前の私、今の息子と同じ十才の時の私だ。

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「ちょっとお前もここに背中をつけてみろよ」、私は息子を柱に立たせた。十才の私よりも二センチほど高い位置に鉛筆で線を引く。息子はそれを見て得意そうな顔をした。私はふと思い立って、自分の背中を柱につけた。何が面白いのか、息子は笑いながら母と妻を呼んだ。

「ちょっとお前もここに背中をつけてみろよ」、私は息子を柱に立たせた。十才の私よりも二センチほど高い位置に鉛筆で線を引く。息子はそれを見て得意そうな顔をした。私はふと思い立って、自分の背中を柱につけた。何が面白いのか、息子は笑いながら母と妻を呼んだ。

「ちょっとお前もここに背中をつけてみろよ」、私は息子を柱に立たせた。十才の私よりも二センチほど高い位置に鉛筆で線を引く。息子はそれを見て得意そうな顔をした。私はふと思い立って、自分の背中を柱につけた。何が面白いのか、息子は笑いながら母と妻を呼んだ。

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私は妻に鉛筆を渡して線を引いてもらった。三十二年ぶりの線。その線の下にはこれまでの自分がいて、その線の上にはこれからの自分がいる。私は心の中で呟いた。「まあまあ、頑張ってきたよな。でもまだまだ、これからだぜ」さて、帰り支度をしなくては。明日からまた、日常の暮らしが始まる。

私は妻に鉛筆を渡して線を引いてもらった。三十二年ぶりの線。その線の下にはこれまでの自分がいて、その線の上にはこれからの自分がいる。私は心の中で呟いた。「まあまあ、頑張ってきたよな。でもまだまだ、これからだぜ」さて、帰り支度をしなくては。明日からまた、日常の暮らしが始まる。

私は妻に鉛筆を渡して線を引いてもらった。三十二年ぶりの線。その線の下にはこれまでの自分がいて、その線の上にはこれからの自分がいる。私は心の中で呟いた。「まあまあ、頑張ってきたよな。でもまだまだ、これからだぜ」さて、帰り支度をしなくては。明日からまた、日常の暮らしが始まる。

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2016年8月掲載

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