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第2話 試合の三日前に。 「お父さん、僕ずるいのかな」、風呂の中で、息子がポツリと言う。「どうして?」「だって、ケンちゃんがねんざしたから、僕が試合に出られるんだよ」 息子(小学校二年生)は少年サッカーチームに入っている。まあ、試合には途中から出たり出なかったり、つまり補欠の一、二番といったところだ。

第2話 試合の三日前に。 「お父さん、僕ずるいのかな」、風呂の中で、息子がポツリと言う。「どうして?」「だって、ケンちゃんがねんざしたから、僕が試合に出られるんだよ」 息子(小学校二年生)は少年サッカーチームに入っている。まあ、試合には途中から出たり出なかったり、つまり補欠の一、二番といったところだ。

第2話 試合の三日前に。 「お父さん、僕ずるいのかな」、風呂の中で、息子がポツリと言う。「どうして?」「だって、ケンちゃんがねんざしたから、僕が試合に出られるんだよ」 息子(小学校二年生)は少年サッカーチームに入っている。まあ、試合には途中から出たり出なかったり、つまり補欠の一、二番といったところだ。

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「別にずるくないだろ。お前はお前で頑張ればいいんだから」「でも僕、誰かが試合に出なければ、自分が出れるのにって思ってたよ」「そりゃみんな出たいんだから当たり前だよ。なにも誰かがケガでもすればいいって思ってたわけじゃないだろ」「そんなこと思うわけないよ」、息子はやや声を大きくして言い返す。「でもね、ケンちゃんがケガで出れないって聞いた時、かわいそうだなって思ったけど、本当は少しラッキーって思った。だから僕は心がずるいんだよ」

「別にずるくないだろ。お前はお前で頑張ればいいんだから」「でも僕、誰かが試合に出なければ、自分が出れるのにって思ってたよ」「そりゃみんな出たいんだから当たり前だよ。なにも誰かがケガでもすればいいって思ってたわけじゃないだろ」「そんなこと思うわけないよ」、息子はやや声を大きくして言い返す。「でもね、ケンちゃんがケガで出れないって聞いた時、かわいそうだなって思ったけど、本当は少しラッキーって思った。だから僕は心がずるいんだよ」

「別にずるくないだろ。お前はお前で頑張ればいいんだから」「でも僕、誰かが試合に出なければ、自分が出れるのにって思ってたよ」「そりゃみんな出たいんだから当たり前だよ。なにも誰かがケガでもすればいいって思ってたわけじゃないだろ」「そんなこと思うわけないよ」、息子はやや声を大きくして言い返す。「でもね、ケンちゃんがケガで出れないって聞いた時、かわいそうだなって思ったけど、本当は少しラッキーって思った。だから僕は心がずるいんだよ」

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さて、こんな時父親であるところの私は何と言ったらいいのだろう。正しい答えなどあるわけはないのだ。「だけど父さんは、お前がそんなにずるいとは思わないな」「なんで?」「だって父さんがお前だったとしても、きっと同じように思うんじゃないかな」「ほんと?」「ああ」理由にはなっていない。が、少しだけ息子の半べそ顏が明るくなった。

さて、こんな時父親であるところの私は何と言ったらいいのだろう。正しい答えなどあるわけはないのだ。「だけど父さんは、お前がそんなにずるいとは思わないな」「なんで?」「だって父さんがお前だったとしても、きっと同じように思うんじゃないかな」「ほんと?」「ああ」理由にはなっていない。が、少しだけ息子の半べそ顏が明るくなった。

さて、こんな時父親であるところの私は何と言ったらいいのだろう。正しい答えなどあるわけはないのだ。「だけど父さんは、お前がそんなにずるいとは思わないな」「なんで?」「だって父さんがお前だったとしても、きっと同じように思うんじゃないかな」「ほんと?」「ああ」理由にはなっていない。が、少しだけ息子の半べそ顏が明るくなった。

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コイツの人生も、少しずつ難しくなっていくんだな。私はタオルを固く絞って、七才の少年の顔を拭いた。

コイツの人生も、少しずつ難しくなっていくんだな。私はタオルを固く絞って、七才の少年の顔を拭いた。

コイツの人生も、少しずつ難しくなっていくんだな。私はタオルを固く絞って、七才の少年の顔を拭いた。

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  • 第3話 明日に向かって漕げ!を読む

2015年10月掲載

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