♪音楽をお聞きになる場合は、こちら

第4話 ホット・スイート・メモリー。「わざわざ来てくれてありがとう。久しぶりに顔が見られて、よかった」駅まで見送りにきた母は、少し名残惜しそうに言った。「今度は、家族みんなでいらっしゃい」父が脚を骨折したと聞いて、見舞いに帰ったのだ。定年後に始めたテニスで痛めてしまったとのこと。

第4話 ホット・スイート・メモリー。「わざわざ来てくれてありがとう。久しぶりに顔が見られて、よかった」駅まで見送りにきた母は、少し名残惜しそうに言った。「今度は、家族みんなでいらっしゃい」父が脚を骨折したと聞いて、見舞いに帰ったのだ。定年後に始めたテニスで痛めてしまったとのこと。

第4話 ホット・スイート・メモリー。「わざわざ来てくれてありがとう。久しぶりに顔が見られて、よかった」駅まで見送りにきた母は、少し名残惜しそうに言った。「今度は、家族みんなでいらっしゃい」父が脚を骨折したと聞いて、見舞いに帰ったのだ。定年後に始めたテニスで痛めてしまったとのこと。

t10-hyakkei-sp-arrow

「いやあ、70も過ぎると骨がもろくなって。面目ない」松葉杖の父は、髪もすっかり白く薄くなって、亡くなった祖父によく似てきた。昔は厳しかった父が柔和になり、母は最近、電話の話が長くなった。私もそろそろ両親の老いと向き合うような年代に、さしかかってきたと感じる。「えーと、そうそう…。時間もあるし、ちょっと寄っていこうか」私は、母を駅前のデパートへ誘った。

「いやあ、70も過ぎると骨がもろくなって。面目ない」松葉杖の父は、髪もすっかり白く薄くなって、亡くなった祖父によく似てきた。昔は厳しかった父が柔和になり、母は最近、電話の話が長くなった。私もそろそろ両親の老いと向き合うような年代に、さしかかってきたと感じる。「えーと、そうそう…。時間もあるし、ちょっと寄っていこうか」私は、母を駅前のデパートへ誘った。

「いやあ、70も過ぎると骨がもろくなって。面目ない」松葉杖の父は、髪もすっかり白く薄くなって、亡くなった祖父によく似てきた。昔は厳しかった父が柔和になり、母は最近、電話の話が長くなった。私もそろそろ両親の老いと向き合うような年代に、さしかかってきたと感じる。「えーと、そうそう…。時間もあるし、ちょっと寄っていこうか」私は、母を駅前のデパートへ誘った。

t10-hyakkei-sp-arrow

小さい頃、父がよくここの食堂に連れてきてくれた。二人だけで来た時は、「今日は特別だ」と言って、決まってホットケーキを注文したものだ。それを、ふいに思い出したのだ。「へえ、知らなかったわ。男同士の秘密?」「父さんね、『うちのよりうまいよな』って言うんだ。確かにおいしかったんだけど…。母さんに話すのは、悪い気がして黙っていたんだ」「あら、優しいじゃない」私の幼少時代の話になると、母の表情がいきいきと輝いた。

小さい頃、父がよくここの食堂に連れてきてくれた。二人だけで来た時は、「今日は特別だ」と言って、決まってホットケーキを注文したものだ。それを、ふいに思い出したのだ。「へえ、知らなかったわ。男同士の秘密?」「父さんね、『うちのよりうまいよな』って言うんだ。確かにおいしかったんだけど…。母さんに話すのは、悪い気がして黙っていたんだ」「あら、優しいじゃない」私の幼少時代の話になると、母の表情がいきいきと輝いた。

小さい頃、父がよくここの食堂に連れてきてくれた。二人だけで来た時は、「今日は特別だ」と言って、決まってホットケーキを注文したものだ。それを、ふいに思い出したのだ。「へえ、知らなかったわ。男同士の秘密?」「父さんね、『うちのよりうまいよな』って言うんだ。確かにおいしかったんだけど…。母さんに話すのは、悪い気がして黙っていたんだ」「あら、優しいじゃない」私の幼少時代の話になると、母の表情がいきいきと輝いた。

t10-hyakkei-sp-arrow

30年ぶりに頼んだホットケーキは、子どもの時ほど、美味ではなかった。けれど、メイプルシロップが甘く、懐かしく、心に沁みて味わい深かった。お正月には、孫の顔を見せにまた帰って来よう—。私はそう思った。

30年ぶりに頼んだホットケーキは、子どもの時ほど、美味ではなかった。けれど、メイプルシロップが甘く、懐かしく、心に沁みて味わい深かった。お正月には、孫の顔を見せにまた帰って来よう—。私はそう思った。

30年ぶりに頼んだホットケーキは、子どもの時ほど、美味ではなかった。けれど、メイプルシロップが甘く、懐かしく、心に沁みて味わい深かった。お正月には、孫の顔を見せにまた帰って来よう—。私はそう思った。

  • トップへ戻る

2014年10月掲載

Page Top