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第3話 花の歌。いよいよその日が明日にせまった日曜日の午後、娘の部屋からピアノの音が聞こえてきた。「へえ、珍しいな」「それがこの二、三日よく弾いてるのよ、特にこの曲。ピアノは持って行けないから、やっぱり少し淋しいのかしら」、そう言う妻の顔も、やはり少し淋しそうだ。

第3話 花の歌。いよいよその日が明日にせまった日曜日の午後、娘の部屋からピアノの音が聞こえてきた。「へえ、珍しいな」「それがこの二、三日よく弾いてるのよ、特にこの曲。ピアノは持って行けないから、やっぱり少し淋しいのかしら」、そう言う妻の顔も、やはり少し淋しそうだ。

第3話 花の歌。いよいよその日が明日にせまった日曜日の午後、娘の部屋からピアノの音が聞こえてきた。「へえ、珍しいな」「それがこの二、三日よく弾いてるのよ、特にこの曲。ピアノは持って行けないから、やっぱり少し淋しいのかしら」、そう言う妻の顔も、やはり少し淋しそうだ。

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娘はこの4月から東京の大学に行く。入学手続きやら住む場所のことやらで忙しかったが、それも一段落。あとは彼女が出て行くだけだ。そう、十八年間過ごしたこの家を、明日……。それにしてもこの曲何て言ったかな。娘がピアノを習っていた頃は、よく耳にした曲なのだが。

娘はこの4月から東京の大学に行く。入学手続きやら住む場所のことやらで忙しかったが、それも一段落。あとは彼女が出て行くだけだ。そう、十八年間過ごしたこの家を、明日……。それにしてもこの曲何て言ったかな。娘がピアノを習っていた頃は、よく耳にした曲なのだが。

娘はこの4月から東京の大学に行く。入学手続きやら住む場所のことやらで忙しかったが、それも一段落。あとは彼女が出て行くだけだ。そう、十八年間過ごしたこの家を、明日……。それにしてもこの曲何て言ったかな。娘がピアノを習っていた頃は、よく耳にした曲なのだが。

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「あーおいしかった。ご馳走様」、好物ばかり並んだ夕食をペロリと平らげた後、娘は意外なことを言った。「ねえ、ちょっと私の部屋に来て」妻の後からおずおずと娘の部屋に入ると、娘はピアノの前に座った。「えーそれでは久々に一曲。たしかお母さんの大好きな曲で、ランゲの『花の歌』です。イエーイ」

「あーおいしかった。ご馳走様」、好物ばかり並んだ夕食をペロリと平らげた後、娘は意外なことを言った。「ねえ、ちょっと私の部屋に来て」妻の後からおずおずと娘の部屋に入ると、娘はピアノの前に座った。「えーそれでは久々に一曲。たしかお母さんの大好きな曲で、ランゲの『花の歌』です。イエーイ」

「あーおいしかった。ご馳走様」、好物ばかり並んだ夕食をペロリと平らげた後、娘は意外なことを言った。「ねえ、ちょっと私の部屋に来て」妻の後からおずおずと娘の部屋に入ると、娘はピアノの前に座った。「えーそれでは久々に一曲。たしかお母さんの大好きな曲で、ランゲの『花の歌』です。イエーイ」

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四分ちょっとの演奏が、まるでこれまでの十八年間のように、長くも短くも感じられた。そして弾き終えた娘がポツリ。「今までありがとう。私、向こうでも頑張るよ」その顔がやけに大人っぽく見えた。「体だけは気をつけてな」、私はわざと素っ気なく答えて、顔をグシャグシャにしている妻の肩に手を置いた。

四分ちょっとの演奏が、まるでこれまでの十八年間のように、長くも短くも感じられた。そして弾き終えた娘がポツリ。「今までありがとう。私、向こうでも頑張るよ」その顔がやけに大人っぽく見えた。「体だけは気をつけてな」、私はわざと素っ気なく答えて、顔をグシャグシャにしている妻の肩に手を置いた。

四分ちょっとの演奏が、まるでこれまでの十八年間のように、長くも短くも感じられた。そして弾き終えた娘がポツリ。「今までありがとう。私、向こうでも頑張るよ」その顔がやけに大人っぽく見えた。「体だけは気をつけてな」、私はわざと素っ気なく答えて、顔をグシャグシャにしている妻の肩に手を置いた。

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2015年3月掲載

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