小さな子どもがいる家庭ならではの準備・対処など、
いつ起こるか分からない災害のそなえはできていますか?
ママ・パパたちの不安を解消すべく、
危機管理アドバイザーの国崎信江先生に防災対策を教えていただきました。
危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。内閣府「防災スペシャリスト養成企画検討会」などの国や自治体の防災関連の委員を務める。
自分で命を守れないあかちゃんがいる家庭ではとくに、自分が住んでいる地域(エリア)が安全であるかを確認してください。事前にハザードマップで洪水や浸水、土砂崩れ等のリスクを確認しておくと良いと思います。また、自宅の耐震性についても知っておくと良いです。
国土交通省が運営するハザードマップポータルサイト(※1)の『重ねるハザードマップ』を見れば、洪水、土砂災害、津波、道路防災情報等のリスク関連情報を重ねて表示できて、便利ですね。
それから日頃から地域(近所)の方とコミュニティを作っておくことも大事です。避難所に行った時に、知り合いがいると心強く、あかちゃんと保護者を親身になって支援してくれることでしょう。
特に仕事をしている親御さんは、町内会や子ども会、近所に近い年齢の子どもがいれば、普段から声がけをして、顔見知りになっておくと良いと思います。
地域とのコミュニティ作りも災害対策のひとつなんですね。家の中でやっておくべき災害対策はありますか?
あかちゃんがいるスペースはなるべく物を少なくしておいてください。また、収納物が飛び出ないようにする扉や引き出しストッパーをつけたり、家具を固定したりすることも大事です。
ふだん、あかちゃんのためにやっていることが災害時にも活きるんですね。いざという時のために、準備しておくべきグッズはありますか?
ふだんから使用しているマザーズバッグをベースにしながら、災害時用のグッズを入れておくことをオススメします。
ふだん持ち歩いている、おむつセット(おむつ・おしりふき・ビニル袋)、授乳セット(授乳ケープ・液体ミルク・哺乳瓶など)、ベビーフード、お気に入りのお菓子や飲み物・おもちゃ、着替え、タオル、ブランケット、抱っこひも、母子健康手帳と保険証の写しに加え、災害時用におむつセットや着替えは多めに準備し、また母乳育児の場合も、もしものときのためにミルクをそなえておきましょう。
また準備しておくと安心なのが、ゼリー飲料、モバイルバッテリー、ヘッドライト、携帯用トイレ、止血パッドです。
ゼリー飲料は、自分用の飲み物兼食べ物として持っておくと、水分補給もでき、とても便利です。また、防災グッズをもう1セット準備しておいて、事前に実家や友達の家に預けておくのも良いかもしれませんね。
災害グッズばかりが気になりがちですが、自宅周辺のハザードマップを事前に確認しておくことも大事なんですね。自分の家がどうなっているかさっそく見てみたいと思います。
災害ごとに異なります。水害の場合は、早めの避難が必要なため、あらかじめ自主避難の目安を決めておくことが大事です。あかちゃんがいる家族は、自治体からの避難勧告を待っていては遅いと思っています。例えば、我が家では、連続雨量が100mmかつ時間雨量40mmの雨が降る時をひとつの目安にしています。
地震の場合は、どうすれば良いですか?
地震は数10秒から数分で生死が分かれる災害なので、事前に耐震性の確認や家具の固定をしてください。揺れが収まったら、建物の倒壊のおそれや火災などの二次被害の確認をしてください。もし危険と判断した場合、命を守るために避難場所に行ってください。
避難場所へ行く際の注意点はありますか?
大きな地震が立て続けに起きる場合があるので、地割や上からの落下物にも注意しながら、避難場所へ向かってください。もし、避難場所が少し離れているなら、周りの様子を見ながら安全な場所を見つけ少しずつ移動してください。
安全な場所とは具体的にどんなところですか?
民間グラウンド、公園、大きめのコインパーキング、高台、丈夫な建物などですね。
もし外出先で災害が起きてしまったらどうすればいいですか?
まずは公的機関を目指してほしいと思います。避難所や役所、図書館、公民館、学校、地域交流センターなどに一時的に助けを求めてください。その際、便利なのが、『防災情報 全国避難所ガイド』(※2)というアプリです。電波状況が悪くても使用できるので、ダウンロードしておくことをオススメします。
他にも入れておいた方が良いアプリはありますか?
安否確認ができたり、自分が指定した地域のリアルタイムの情報が分かる防災アプリがオススメです。他にも、近くのアプリユーザーへ救援依頼をすることができる『MySOS』(※3)や、119番通報をすることができるアプリ、物に挟まれて声がでないときに音を鳴らしてくれるアプリもオススメです。
情報収集をする場合は、公的機関から発信された情報を確認しましょう。
いろんな防災アプリを事前にダウンロードしておくことで、いざというときに適切な行動をとれたり、助けになってくれるんですね。
あかちゃんといっしょに避難所に滞在する場合は、短期(1、2日程度)がオススメです。避難所生活が長くなる場合は家族、親族に迎えにきてもらうようにしましょう。実際の現場でも、そういったケースが多いようです。
あかちゃんがいっしょで避難所生活が大変なことはありますか?
授乳スペースがない、おむつ替え(ニオイが気になる)、空調があかちゃんに合ってない、毎日お風呂に入れないので、おむつかぶれが酷くなってしまうなど、避難所生活は、あかちゃんも親もストレスが溜まってしまう場所です。
避難所生活であかちゃんに必要な物はありますか?
長期の避難所生活の場合、洋服がなかなか洗えないので、スタイを多めに持っておくと良いです。また、食事用のエプロンもあれば、汚れた時に少量の水で流せるのでいいですね。他にも、スキンケアクリーム、スプーンの支給がなかなかないので、シリコン製のスプーン、フォーク、あかちゃん用の爪切り、綿棒も持っておくと、とても便利ですね。また、ふだんから使い慣れているあかちゃん用ボディーソープを、旅行用の小さいケースに入れて持ち運ぶのもオススメです。
おむつ、粉ミルクなどの供給物資はありますか?
供給物資は、自治体によってさまざまです。地域防災計画には、備蓄一覧が載っているのですが、気になる方は、直接担当部署に問い合わせをしても良いと思います。ただし、子どもの好みのミルクやおむつを、前もって準備しておくことが一番かと思います。
コロナ禍での、避難所に訪問したそうですね。
はい。今年起きた九州地方を中心とした集中豪雨『令和2年7月豪雨』の避難所に、実際に行ったのですが、役所の方たちがパーテーションを置いたり、ダンボールベッドを作ったり、消毒を徹底するなど、さまざまな対策を行っていました。
コロナ禍の避難所で必要なグッズはありますか?
設営が簡単な『ワンタッチテント』は便利だと思います。授乳スペースにもなりますし、停電中などには、寝ているあかちゃんが踏まれてしまう可能性も十分にあるので、持っていると安心です。マスク、ビニル手袋、消毒液もあった方が良いと思いました。
今回お話しをお伺いして、自分がいかに災害への準備ができていなかったかを思い知りました。
今日から家族と話しながら、ひとつずつ準備していきたいと思います。
今回の記事で取り上げた
各種グッズはこちら
<防災対策グッズ>
・おむつセット(おむつ・おしりふき・ビニル袋) ・授乳セット(授乳ケープ・液体ミルク・哺乳瓶など) ・ベビーフード ・お気に入りのお菓子や飲み物 ・お気に入りのおもちゃ ・着替え ・タオル ・ブランケット ・抱っこひも ・母子健康手帳と保険証の写し ・ゼリー飲料 ・モバイルバッテリー ・ヘッドライト ・携帯用トイレ ・止血パッド
<避難所生活に便利なグッズ>
・スタイ(多めに) ・食事用のエプロン ・スキンケアクリーム ・シリコン製のスプーン、フォーク ・あかちゃん用の爪切り、綿棒 ・あかちゃん用ボディーソープ
<感染症対策を意識した避難所グッズ>
・ワンタッチテント ・マスク ・ビニル手袋 ・消毒液
(※1)国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/index.html
(※2)防災情報 全国避難所ガイド
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.hinanjyo.guide&hl=ja
https://apps.apple.com/jp/app/id446063625?mt=8
(※3)MySOS
https://play.google.com/store/apps/details?id=net.allm.mysos&hl=ja
https://apps.apple.com/jp/app/mysos/id971663851
参考文献
東京都総務局総合防災部防災管理課(2018)「東京くらし防災」
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/content/kurashi_2/02kurashibousai.pdf
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